環境保全&経済発展につながるゼロ エミッションとは?

1997年にエコタウン事業が日本で始まったことで、自治体が主体となり環境保全や経済発展を同時に達成する町づくりが推進されてきました。企業においては、日本が2050年度までの脱炭素化を目標として宣言したことで、ゼロエミッションへの取り組みが加速しています。

この記事では、ゼロエミッションについて関心のある法人の皆さまが知っておくべき、ゼロエミッションに関する基礎知識や、日本での取り組みなどについてご紹介します。

目次

  1. 環境用語・ゼロエミッションとは?

  2. 日本にはゼロエミッション構想の街がある!エコタウンの事例

  3. 国が後押し!企業はゼロエミッションにどのように取り組むべき

  4. まとめ:ゼロエミッションへの理解を深め、企業ができる取り組みを検討しよう!

1. 環境用語・ゼロエミッションとは?

ゼロエミッションとは、高度成長期からバブル期における企業の活動や国民のライフスタイルに警鐘を与えるために提唱された環境用語です。ここでは、ゼロエミッションの概念や、重要視されている理由などについてご紹介します。

ゼロエミッションとは?

ゼロエミッションは、1994年に国連大学が提唱した環境用語で、人間の活動による排出物をゼロにすることを目標とし、最大限に資源を活用し、持続可能な経済活動や生産活動を展開することを目指すものです。

2000 年に国連大学本部にゼロエミッションフォーラムが創設され、ゼロエミッションの取り組みを普及する活動が行われています。ゼロエミッション構想の中で描かれているのは、3Rを柱とする環境への負荷ができる限り低減された資源循環型社会です。

3R:reduce(減らす)reuse(再利用する)recycle(資源として再活用する)

出典:国連大学協力会『ゼロエミッション・フォーラム』(2000/1/1)

出典:環境省『循環型社会への新たな挑戦』(p.1)

ゼロエミッションが重要視される理由

日本は、1980年代の高度成長期から1990年代前半のバブル期において生産が拡大したことで、大量生産・大量消費・大量廃棄型社会へと変換しました。これにより廃棄物やCO2排出量が急激に増加し、環境汚染や気候変動など様々な環境問題を引き起こしています。環境保全の観点から見てゼロエミッションが重要視されているのはこのためです。

[廃棄物排出量の推移]

  • 1975年度:2億3649万トン

  • 1980年度:2億9231万トン

  • 1985年度:3億1227万トン

  • 1990年度:3億9474万トン

  • 1995年度:3億9381万トン

  • 2000年度:4億604万トン

出典:環境省『日本の廃棄物処理の歴史と現状』(p.8)

[CO2排出量の推移]

エネルギー起源CO2排出量は、1965年度から2016年度までに189.7%増加しています。急激に増加した背景には、バブル景気期におけるエネルギー消費量の増大などがあります。

 

出典:環境省『2.2 エネルギー起源CO2排出量全体』(p.2)

2. 日本にはゼロエミッション構想の街がある!エコタウンの事例

日本には、ゼロエミッション構想に基づき街づくりが進められているエコタウンが存在しています。ここでは、地域のゼロエミッションを後押しする政府のエコタウン事業の概要や、エコタウンの事例をご紹介します。

地域のゼロエミッションを後押し!エコタウン事業とは?

エコタウン事業は、環境省と経済産業省が主体となり1997年にスタートした制度です。地域振興の基軸としてゼロエミッションを基本構想とする町づくりを推進することを主な目的としています。地域の特性を活かし策定したエコタウンプランが、環境省と経済産業省から承認されると自治体は政府から財政的な支援を受けることができます。

出典:経済産業省『3R政策を知る「エコタウン事業」を更新しました。』

日本にはどんなエコタウンがある?事例紹介

[1]みなまたエコタウン

熊本県水俣市は2001年に国から「みなまたエコタウンプラン」が承認を受けています。環境保全への努力を地域経済の活性化などに繋げることを目的とし、市民と自治体、企業が三位一体となり4Rに取り込む町づくりを推進しています。4Rとは、3Rにrefuse(断る)を加えた環境用語です。

出典:水俣市『みなまたエコタウン』(2018/8/21)

[2]岡山エコタウン

岡山県は2004年に国から「岡山エコタウンプラン」が承認を受けています。県全域、水島コンビナートを重点対象地区とし、廃棄物処理に関する課題を解決し、環境保全と経済性を同時に達成する地域循環型の町づくりを目指しています。

出典:経済産業省『岡山エコタウンプラン』

3. 国が後押し!企業はゼロエミッションにどのように取り組むべきか?

事業活動において廃棄物やCO2を排出する企業がゼロエミッションに取り組むことは、大変意味のあることです。ここでは、企業のゼロエミッションへの取り組みを促進させるために国が実施している施策についてご紹介します。

投資家に投資を促すゼロエミ・チャレンジ

CO2排出量が実質ゼロの脱炭素社会を実現させるためには、民間企業によるイノベーションが欠かせません。経済産業省は、経団連やNEDOと連携し、「ゼロエミ・チャレンジ」を実施しています。脱炭素に取り組む民間企業のイノベーションを見える化し、必要な情報を公開することで、投資家に投資を促すものです。

出典:経済産業省『ゼロエミ・チャレンジ企業リスト』

グリーンボンド成長戦略

民間企業のイノベーションを後押しし、2050年度までの脱炭素化を実現させるために、2020年に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。NEDOに2兆円規模の「グリーンイノベーション基金」を創設し、民間企業を支援する方針を固めています。

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました』(2020/12/25)

4. まとめ:ゼロエミッションへの理解を深め、企業ができる取り組みを検討しよう!

ゼロエミッションは1994年に提唱された環境用語で、環境と経済の両立を重要視する自治体は2000年頃にはすでに取り組みを始めていました。企業においては、日本が2050年度までの脱炭素を宣言したことで、イノベーションや再生可能エネルギーへの切り替えなどに取り組む企業が増加しています。

企業ができるゼロエミッションへの取り組みは、1つだけではありません。ゼロエミッションへの理解を深め、企業ができる取り組みを検討しましょう!

 

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