再生可能エネルギーが普及しない理由とは?理由や取り組みを徹底解説

日本で再生可能エネルギーが普及しない理由とは?諸外国と比較すると、日本の再生可能エネルギーの普及は遅れていると指摘する声が上がっています。再生可能エネルギーの普及が進んでいる国と日本には、どのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、日本における再生可能エネルギー普及の現状や普及しない3つの理由、中小企業が再生可能エネルギー導入に向けてできることなどについてご紹介します。日本の現状を理解し、企業での再生可能エネルギーの導入検討につなげていただければと思います。

目次

  1. 日本の再生可能エネルギー普及は遅れてる?現状について

  2. 日本で再生可能エネルギーが普及しない3つの理由

  3. 中小企業も再生可能エネルギー普及に貢献できる!

  4. まとめ:日本で再生可能エネルギーが普及しない理由を理解し、導入に取り組もう!

1. 日本の再生可能エネルギー普及は遅れてる?現状について

日本の再生可能エネルギー普及は遅れていると指摘されていますが、どのような現状にあるのでしょうか。ここでは、日本が掲げる再生可能エネルギー割合の目標やこれまでの普及の推移、世界と比較した時の現状についてご紹介します。

日本の再生可能エネルギー普及の目標

2003年に第1次エネルギー基本計画が策定されてから、3年ごとに見直しが行われています。2021年7月21日に、経済産業省が第6次エネルギー基本計画の素案をまとめた資料を公表しています。

2050年度までのカーボンニュートラル実現を目標として掲げている日本は、2030年度における再生可能エネルギー割合の目標を現行の22〜24%から36〜38%に引き上げる見通しです。再生可能エネルギー以外の各電源の目標は、以下のように検討されています。

  • 水素・アンモニア:0%→1%

  • 原子力:20〜22%→20〜22%

  • LNG:27%→20%

  • 石炭:26%→19%

  • 石油等:3%→2%

出典:資源エネルギー庁『エネルギー基本計画(素案)の概要』(2021/7/21)(p.12)

日本の再生可能エネルギー普及の推移

第6次エネルギー基本計画の素案では、再生可能エネルギー割合の2030年度の目標は36〜38%とされていますが、2019年度における日本の再生可能エネルギー割合は18.0%です。日本ではこれまで以下のように再生可能エネルギー割合が推移しています。

出典:ISEP『2020年(暦年)の自然エネルギー電力の割合』よりアスエネで作成

世界と比較した日本の現状

2050年までにカーボンニュートラルを実現させるために、日本は再生可能エネルギーを最大限に導入する方針を固めています。洋上風力と蓄電池産業を成長分野にするとの内容も盛り込まれています。

カーボンニュートラルを実現させるために中間目標として、2030年度までに再生可能エネルギー割合を36〜38%にする見込みですが、現状は2019年度で18%と再生可能エネルギー普及は思うように進んでいません。世界で比較すると、2019年度の日本の再生可能エネルギー発電設備容量は世界第6位、太陽光発電は世界第3位です。再生可能エネルギー普及が進んでいる国と比較すると、やはり日本は遅れていると言えます。

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』(2020年12月)(p.3)

出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2020年度版「エネルギーの今を知る10の質問」』

2. 日本で再生可能エネルギーが普及しない3つの理由

なぜ日本では再生可能エネルギーが普及しないのか。ここでは、日本における再生可能エネルギー普及を阻んでいる3つの理由についてご紹介します。

地理的問題

再生可能エネルギーを主力電源にするために必要となるのが、長期安定的な発電を支える事業環境の整備です。日本は洋上風力を成長分野にする方針ですが、洋上風力等の立地制約があるため、普及が進んでいません。 

出典:資源エネルギー庁『再エネの主力電源化を実現するために』(2018/5/15)

発電コストの高さ

日本では再生可能エネルギーで発電する時にかかる発電コストが高いです。事業用太陽光発電と陸上風力発電の発電コストは年々下がっており、2040年度まで下がる見通しです。

太陽光のkWhあたりの発電コストは、2017年度の14.6円から2040年度には3.7円まで、陸上風力は2018年度の13.3円から2040年度には5.4円まで下がる見通しです。

しかしながら諸外国と比較すると、発電コストは高い状況にあります。発電コストの高さも、新規導入を阻んでいる問題点です。

出典:資源エネルギー庁「コストダウンの加速化について※2018年」を元にアスエネが作成

海外情勢による影響

日本では一般木材等・バイオマス液体燃料において、原料の7割以上を輸入材に頼っています。このように輸入材を再生可能エネルギーの発電時に活用すると、海外情勢により影響を受けるデメリットがあります。国内で資源を調達できないことも、日本で再生可能エネルギーの普及が進まない問題点です。

出典:資源エネルギー庁『今後の再生可能エネルギー政策について』(2021/3/1)(p.64)

3. 中小企業も再生可能エネルギー普及に貢献できる!

再生可能エネルギーは発電時にCO2を排出しないエコな電源です。事業活動において電力を多く使用する企業が再生可能エネルギーに切り替えることは、気候変動問題への取り組みにもつながります。

遅くとも2050年度までに事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替える目標を設定する「再エネ100宣言RE Action」を宣言する企業数は増加しており、2021年8月時点において宣言しているのは165団体です。ここでは、中小企業が再生可能エネルギーに切り替える方法についてご紹介します。

自家発電する

事業用太陽光発電設備やバイオマス発電設備などを設置し、事業で利用する電力を自家発電することができます。資源エネルギー庁はホームページで、自家発電を行っている事業者一覧を公表しています。

出典:資源エネルギー庁『発電事業者一覧』

電力会社から購入する

企業で再生可能エネルギー設備を設置するのが難しい場合は、電力会社から購入する方法があります。

4. まとめ:日本で再生可能エネルギーが普及しない理由を理解し、導入に取り組もう!

日本で再生可能エネルギーが普及しない3つの理由などについてご紹介しました。再生可能エネルギーが思うように進まない中で、企業が事業活動で利用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることは大変意味のあることです。

日本における再生可能エネルギーの現状や目標に関する理解を深め、企業でも導入を検討しましょう!

アスエネESGサミット2024資料 この1冊でLCAの基礎を徹底解説資料 サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説
アスエネESGサミット2024