【2023年最新】日本における発電の割合は?再エネ発電普及のポイントを解説

日本における発電電力の割合は、2021年時点で化石燃料による発電が72.9%で,再生可能エネルギー発電の割合は20.3%です.世界の潮流から日本の現状,再生エネルギーの詳細についてわかりやすく解説。

目次

  1. 日本におけるエネルギー発電の割合

  2. 再生可能エネルギーとは

  3. 日本で発電の割合の向上が期待できる再生可能エネルギー

  4. 日本で再生可能エネルギー発電の割合を上昇させるために

  5. まとめ:日本の再生可能エネルギー支援制度を活用してエネルギーシフトしよう

1. 日本におけるエネルギー発電の割合

日本では、2020年10月26日、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという宣言がされました。では現在の日本のエネルギー発電はどのような割合なのでしょうか。ここでは日本のエネルギー発電の割合と、今後重要視される再生可能エネルギー発電の割合を、世界の発電割合と共にご説明します。

(1)日本の割合

冒頭でご紹介したように、2021年度のエネルギー供給は化石燃料による火力発電が72.9%を占めています。前年比からの増減内訳は、石油が2.9%増、石炭が2.9%増、LNG(液化天然ガス)が6.4%減と、前年から多少減少したとはいえ、国内の総発電数の70%以上を化石燃料に頼っているのが現状です。

火力発電は化石燃料を燃焼する際に温室効果ガスを排出しており、地球温暖化に影響を及ぼしています。一方、温室効果ガスを発生しない原子力発電の割合は6.9%、再生可能エネルギー発電の割合は、20.3%となっています。

部門別最終エネルギー消費

出典:経済産業省「令和3年度(2021年度)エネルギー需給実績を取りまとめ」

出典:環境エネルギー政策研究所「2021年の自然エネルギー電力の割合」

再生可能エネルギーの中でも最も割合が高い発電方法は、電力発電で9.3%です。続いて水力発電が7.8%となっています。

2021年の自然エネルギー電力の割合

出典:資源エネルギー庁『集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)「時系列表」』よりアスエネ作成

特に太陽光発電は、2012年のFIT制度の導入により、設備の導入量が大幅に増加しました。FIT制度とは「固定価格買取制度」、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が買い取る制度で、利用者が賦課金を払う形で運用されています。

 

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると、FIT制度により太陽光発電は2012年の開始より2021年までの累積導入量は約60GWと大幅に増加しており、日本の国土面積あたりの導入量は主要国で1位となっています。しかし、これまでの地上設置は立地制約に直面しており、今後は新たな用途で太陽光発電設備の設置面積拡大に取り組み方を検討されています。最終的には累積導入量を2030年までに104~118GWを目指しています。

出典:NEDO 『太陽光発電開発戦略2022』(2022/10/21)(p.6)

出典:資源エネルギー庁『FIT制度の抜本見直しと再生可能エネルギー政策の再構築』(2019/4/22)(p.12) 

(2)世界との比較

それでは、世界と比べて日本の発電の割合はどのようになっているのでしょうか。

自然エネルギー財団が発表した2020年の世界の電源構成によると、日本では約70%を石炭・石油・ガスなど化石燃料による火力発電に頼っているのに対して、ヨーロッパは自然エネルギー発電(再生可能エネルギー発電)の割合が高くなっています。特に、スウェーデンやポルトガルなど、化石燃料の割合を上回る国もあります。

2020年の世界の電源構成

出典: 自然エネルギー財団『統計ー国際エネルギー 電源構成』

EUは気候変動の施策のため、欧州グリーンディール構想など様々な取り決めを行なっています。特にデンマークでは、再生可能エネルギーの割合が約80%に及びます。

2021年に関しては、ロシアのウクライナへの軍事侵攻により、とくにヨーロッパを中心に世界各国でエネルギー危機に見舞われ、再生可能エネルギーへの転換に迫られているのが現状です。

出典: ISEP 環境エネルギー政策研究所『2021年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)』 (2022/4/4)

2. 再生可能エネルギーとは

それでは、現在世界で重要視されている再生可能エネルギーとは何かについて、日本での再生可能エネルギーの歴史を含め説明します。

(1)再生可能エネルギー発電とその特徴

再生可能エネルギー発電とは、温室効果ガスを発生しない発電方法です。国内で生産可能なエネルギー源で、政令により太陽光・風力・地熱・バイオマス・水力などが定められています。

再生利用可能エネルギーのメリットは3つ、資源が枯渇しないこと、温室効果ガスを排出しないこと、エネルギー自給率が向上することが挙げられます。

逆にデメリットは、発電コストが高いことと、天候に左右されるため発電量が不安定なこと、大きな設備を必要とするため設置場所が限られることです。

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギーとは』

(2)なぜ今再生可能エネルギーが注目されているのか

近年、再生可能エネルギーが注目をされているのは大きく2つの理由があります。2050年のカーボンニュートラルの実現の取り組みのひとつであること、SDGsの目標として、「7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」、「13:気候変動に具体的な対策を」と掲げられていることです。

カーボンニュートラルとは、CO2排出量がゼロとなるよう、脱炭素化を目指すことです。地域の再生可能エネルギー自給率の向上を目指して事業支援をすることで、ローカルSDGsを推進するなど、SDGsの取り組みのなかでカーボンニュートラルを目指す事業も増えています。

出典:  環境省 『脱炭素社会構築の支援』(p.1)

(3)日本の発電方法の歴史

日本では、1974年オイルショックのためサンシャイン計画が進められたことで再生可能エネルギーが注目されるようになりました。それまではエネルギーを輸入による石油に依存していたため、オイルショック後は安定したエネルギーの供給が求められます。

特に再生可能エネルギーの割合が急激に上昇したきっかけは、2012年FIT制度が導入されてからです。FIT制度の導入により再生可能エネルギー発電施設が増え、再生可能エネルギーの設備容量の年平均伸び率は2012年の導入から2019年まで19%です。

また2022年4月からは、FIP制度という電力市場価格と連動した価格で買い取る制度が始まっています。

出典:  資源エネルギー庁 『再生可能エネルギーの未来と歴史』

出典:  資源エネルギー庁 『日本が抱えているエネルギーの問題』(p.3)

3. 日本で発電の割合の上昇が期待される再生可能エネルギー

それでは、日本の中で期待されている再生可能エネルギーは何でしょうか。ここでは、今後日本で発電量の上昇が期待される再生可能エネルギーを2つご紹介します。

(1)水素発電

前述の通り、2020年10月、カーボンニュートラルの宣言がなされました。中でも一番注目が集まるのが、ほぼCO2を発生させない、水素を利用した発電方法です。

水素を利用した発電方法は、2つあります。水素と空気中の酸素との化学反応で発電する、燃料電池の発電方法と、水素を燃焼することでガスタービンを回して発電させる水素発電です。

現在、水素発電は水素火力発電として、火力発電が化石燃料を燃やす代わりに化石燃料と水素を混焼することで商用に研究されていますが、100%水素を燃やして発電する、水素専燃での発電も開発されています。

出典: NEDO 『世界初、市街地で水素100%による熱電供給を達成』(2018/4/20)

また水素発電は、燃料となる水素の電気分解に太陽光・風力などの再生可能エネルギーを使用することにより、燃料の確保にもCO2を排出しないクリーンな発電方法です。

(2)地熱発電

地熱発電は、地下のマグマの熱で発電する方法です。マグマによって温められて水蒸気になった熱がタービンを回して発電します。実は、日本は世界第3位の地熱発電の資源を持っています。

地熱発電は、太陽光や風力のように気候によらないため安定した電気エネルギーとなりますが、地熱資源量は、地下を掘ってみなければわからないというリスクを持ち合わせており、2021年度にしても、自然エネルギー財団調べによると日本の地熱発電の割合は0.25%にすぎません。ただ、今後地熱発電が普及すると日本独特の資源を活用して、持続した再生可能エネルギー発電が可能になると考えられます。

出典: 資源エネルギー庁『日本の地熱開発』(2019/4/26)

出典: 自然エネルギー財団『発電量内訳』(2021/1/21)

4. 日本で再生可能エネルギー発電の割合を上昇させるために

最後に、今後日本の再生可能エネルギー発電の割合を上昇させるにはどうすれば良いでしょうか。企業や個人の方の取り組みを紹介し、今後の見通しを紹介します。

(1)再生可能エネルギー業界への企業の参入

2019年、中小企業向けに、「再エネ100宣言RE Action」が発足されました。参加企業は再エネ100%に向けて目標を対外的に公表し、実践することで再エネ100%を目指す枠組みです。

主に、自家発電・小売電力会社からの購入(自敷地内での発電含む)・再エネの証書の購入の3つの取り組みが行われています。特に、再生可能エネルギーへの電力シフトは、難しく考える必要はなく、クレジット(証書)の購入であればLED照明への入れ替えなど身近なところから始めることができます。

出典: 再エネ100宣言 『再エネ100へ【事例紹介】』

出典: J-クレジット制度 『J-クレジット制度について』

他にもAppleでは、製造パートナー110社以上が全社、製品の製造に伴う電力を100%再生可能エネルギーに変えていくことを発表しています。今後も、世界規模で取引先を含む再生可能エネルギーに対する取り組みが進んでいくと考えられ、再生可能エネルギーの導入はESG(環境・社会・ガバナンス)の推進という面でも効果があると考えられます。

出典: Apple 『Apple、サプライヤー110社以上の再エネへの課題解決に協力』 2021年3月31日(2021/3/31)

(2)個人での再生可能エネルギー発電の利用

住宅への太陽光発電導入件数は、一般社団法人太陽光発電協会によると2021年度の新規導入件数は153,101件で、前年から11,550件の増加を報告しています。今後も引き続きFIT・FIP制度による住宅用太陽光発電で発電された電気を買い取ることで、安定的な導入と個人の太陽光発電の運営が支援されることから、家庭により太陽光発電は導入しやすくなると考えられます。

出典: 一般社団法人 太陽光発電協会 『太陽光発電の状況』(2022/11/01)(p.4)

(3)今後の日本の再生可能エネルギー発電の見通し

再生可能エネルギー発電の研究開発は、洋上風力・水素・アンモニアエネルギーが盛んです。中でも洋上風力は、欧州企業も参入し、日本の大手企業との連携も期待される分野です。

今後の企業の参入を考えるにあたっては、カーボンニュートラルで設定されたグリーンイノベーション基金が欠かせません。公募型のプロジェクトで、中小企業・ベンチャー企業の参画も促進されるという内容です。また企業の再生可能エネルギーへの取り組みは、政府機関の補助も多いため、補助金制度も調べておくと良いでしょう。

出典: NEDO 『グリーンイノベーション基金事業

出典: 資源エネルギー庁『各種支援制度』

出典: 資源エネルギー庁『事業者向け省エネ 各種支援制度』

5. まとめ:日本の再生可能エネルギー支援制度を活用してエネルギーシフトしよう

ここまで、日本における発電の割合と再生エネルギーの特徴・種類・取り組みをご紹介しました。

日本で再生可能エネルギー発電の割合を上昇させるには、国の制度の他に全体で積極的に取り組む姿勢が必要です。再生可能エネルギー発電へのシフトを考えている場合はこれを機に、制度や助成金などの支援制度を調べてみてください。

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