石油業界の環境負荷低減を目指して。潤滑油のリサイクルにより、サーキュラーエコノミーに寄与する【PR】

自身がENEOSで働いていた時代に日本の石油業界の第一線で活躍し、現在は、廃油リサイクルのパイオニアとして新たな課題に取り組んでいる長谷川 正明氏。

代表を務める長谷川インターナショナル株式会社では、世界規模で潤滑油のサーキュラーエコノミーを実現しているドイツのPURAGLOBE社(プラグローブ)社の日本法人設立に向けて動いています。なぜ、長谷川氏が日本の石油業界の環境問題に一石を投じようとしているのか語っていただきました。

世界的に遅れをとっている日本の潤滑油のマテリアルリサイクルを加速させたい

――長谷川インターナショナルはどのような事業をしていますか?

長谷川インターナショナルは2016年に創業した、日本の潤滑油のマテリアルリサイクルを推進する会社です。一般的に石油業界は環境に対して悪しきものであると言われていますが、私の中でも問題意識が芽生えたのは、前職のENEOSでニューヨークの駐在を終え、日本に帰国したときのことでした。

私がある日、ふと銭湯の周りの木々に目をやると、煙突の周辺の木だけ黄色く枯れているのを発見しました。湯を沸かすための燃料による影響ではないかと考え調査をしたところ、その銭湯では燃料として廃油を使用していることが分かりました。

廃油の中に含まれる塩素分を燃焼するとダイオキシンが発生します。当時、アメリカのカリフォルニア州では大気汚染浄化法が制定され、石油業界の環境への意識が高まっており、日本ではダイオキシン問題がクローズアップされていました。

すぐに経済産業省にそのことを報告しましたが、それが結果的に、現在の再生重油のJIS規格の制定につながっています。このように迅速に行政と連携が取れるのは、前職から培ってきた私の強みです。

その後、改めてアメリカの廃油処理の調査をしたところ、廃油を潤滑油のベースとなるオイル(基油)に変換して、潤滑油として再利用していることが分かりました。その後私は、アメリカの廃油処理の実績を経済産業省の資源エネルギー庁に説明した結果、廃油リサイクルシステムのパイロットプラントが予算化されました。

しかし、実現を前にして、様々な事情により白紙撤回となってしまいました。日本とアメリカのマテリアルリサイクルに対しての理解と取り組みのスピード感の違いを体感したことで課題を認識し、日本でより尽力したいという思いが芽生え、長谷川インターナショナルの設立に至りました。

実証実験のスタートで見えてきた日本での実用化への道

――ドイツのPURAGLOBE(プラグローブ)社の日本法人設立に携わることに至った理由を教えてください。

長谷川インターナショナルの最終目的は「潤滑油のサーキュラーエコノミーを実現する」ことです。環境問題においてネガティブに捉えられがちな石油業界のイメージを刷新したい想いがあります。海外と比較したとき、廃油を燃料にする日本が、多くのCO2を排出している事実が明らかになりました。

日本政府も含めて共通の課題感を持っていたものの、潤滑油のサーキュラーエコノミーの実現に向けては多くの障壁があることも事実です。政府や多くのステークホルダーが賛同した形でプロジェクトを進めるため、当社では潤滑油のマテリアルリサイクルについて様々なリサーチや調査報告を行いました。

当社の海外の使用済み潤滑油の実態調査を経て、2022年には環境省が廃油リサイクルの実証実験をスタートさせました。現在は全国オイルリサイクル共同組合、三菱リサーチ&コンサルタント、長谷川インターナショナルの3社でプロジェクトを進めています。

実証パートナーとして、世界で唯一、最高品質の再精製ベースオイルを生産できるドイツのプラグローブ社を選定しました。同社は電気自動車のモーターを冷やすために必要な油として相応しい、電気を通さない油も開発しています。環境に配慮した油の開発ができる技術力を高く評価してのことでした。

――どのような経緯で長谷川インターナショナルとプラグローブ社との関係は築かれていったのでしょうか?

本プロジェクトを進める中で、本国のプラグローブ社の社長直々に、日本を拠点にアジア展開を進めてほしいと打診がありました。プラグローブ社は、プロジェクトの立ち上げ当初より、日本の環境意識に対して環境省や経済産業省の認識が甘いと危機感を抱いていました。

また自身も、プラグローブ社の日本法人を立ち上げることが「潤滑油のサーキュラーエコノミーの実現」を叶える最短ルートになると考えました。両社の想いや目下の課題が一致する形で、プラグローブ社の日本法人の設立が決定し、今は日本工場建設にあたってコストや技術インフラ、候補地を検討しています。

クリーンな潤滑油を選ぶことはCO2排出量を削減し、ESGの取り組みにもつながる

――現在の廃油リサイクルの問題点を教えていただけますでしょうか?

国内外の廃油リサイクルについての調査活動を経て感じるのは、世界では既にサーキュラーエコノミーが回っている中で、日本はそのスピードが遅く、ガラパゴス島のように置き去りになっているという課題です。そのためには、海外で実用化されているCO2を排出せずに潤滑油を使い続けられるシステムやサービスと積極的に提携し、日本の潤滑油のサーキュラーエコノミーを強化していきたいと考えています。プラグローブ社の日本法人設立は、そのファーストステップです。

――具体的には、どのようなアクションをとるのでしょうか?

機械を動かすためには潤滑油が必要不可欠です。「潤滑油は産業の血液」とも言われており、常時クリーンな状態に保つことが推奨されています。

そのため、ドイツ、フランスの2カ国のオイルセンサー企業とともに定期的にモニタリングを行い、クリーンな潤滑油をできるだけ長時間活用できるような仕組みを検討しています。私たちは、使用済み潤滑油を再精製してCO2排出量を削減し、潤滑油を繰り返し使用することでサーキュラーエコノミーを実現させたいと考えています。

各ステークホルダーに対しては、適切な潤滑油の選定が日本の環境問題に対して非常に有用であるとお伝えしていきたいです。潤滑油自体にCO2排出量削減貢献度の指標があります。よりクリーンで性能の良い潤滑油を活用すれば、企業の省エネ、省燃費になるだけではなく、CO2排出量削減に対してのアクションにもなるのです。

日本で潤滑油のサーキュラーエコノミーが実現できれば、CO2排出量を大きく削減できます。また、企業や生活者を問わず、このプロジェクトに関わる方が増えることは、雇用や社会的インパクトの創出にもつながり、ESGの取り組みにも紐づくと考えています。私たちは、すべての人の持続可能で豊かな社会を実現していくために、カーボンニュートラルに貢献できる潤滑油の普及をさらに推進していきます。

<参考>

PURAGLOBE(プラグローブ)社について

https://www.youtube.com/watch?v=PaddMyDxm4k

 

お問い合わせ先

長谷川インターナショナル株式会社

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