ESGリース補助金を活用し脱炭素機器の導入を!補助金の申請方法や活用事例について詳しく解説

脱炭素社会の実現に向け、環境省ではESGリースに対して補助金の給付を行っており、これから脱炭素機器を導入しESG経営を目指している企業にとってこの補助金の利用はとても有効なものとなります。

ここではESGリースで利用できる補助金とはどのようなものなのか、対象となる機器や申請方法も合わせて解説します。これからの企業経営にとってESGは他社競合や消費者から選ばれる企業であるために非常に重要なキーワードとなりますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. ESGリース補助金とは

  2. ESGリース補助金の申請方法

  3. ESGリース補助金の活用事例

  4. 【まとめ】ESGリース補助金を利用し、サステナブル経営を実践しよう!

1. ESGリース補助金とは

まず、補助金を利用するには、ESGリースがどのようなものなのか、対象範囲となるものは何かについて理解しておく必要があります。補助金のメリットと合わせて解説していきます。

ESGとは

ESGとは「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」を考慮した投資や経営、事業活動のことです。SDGsにあげられる昨今の環境問題は、今後の企業経営においても大きな課題となり、投資家はこの問題に企業がどのように取り組んでいるのかを投資の指標の一つと考えています。これにより企業もESGへの積極的な取り組みが求められているのです。

出典:内閣府「ESGの概要」

脱炭素機器のリース導入に交付される補助金、ESGリース補助金とは

ESGリースとは、脱炭素を促進するための機器をリース(借用)で導入することです。環境省が定める基準を満たす機器を、リースで導入する際に利用できる補助金が「ESGリース補助金」です。

出典:一般社団法人環境金融支援機構「ESGリース促進事業補助金制度のご案内」

適格要件を満たした中小企業などが、脱炭素機器をリースで導入すると、リース契約期間の総リース料の1%〜4%の補助金が交付されます。さらに、ESG要素を考慮した優良な取り組みには1%上乗せ、リース先(企業)及び指定リース事業者(リース元)の両社が優良な取り組みを行っている場合は2%の上乗せとなります。

ESGリース補助金の対象補助率

出典:環境省「指定リース事業者向詳細説明会資料」(2023/6)(p9)

ESGリース補助金のメリット

ESGリース補助金には、事業者はESGへの取り組みにかかる初期費用を削減することができるというメリットがあります。脱炭素には設備の大掛かりな変更が必要となりますので、初期費用の大きさから躊躇してしまいがちですが、これをリースとすることで初期費用を抑え、さらに補助金を利用できるので、事業者にとってはメリットしかありません。

また、脱炭素社会の構築に対しても、この補助金ではリース先、リース元の双方を考慮し、優良な取り組みに対して上乗せを行っているために、リース元であるリース会社によるESG要素を考慮した取り組みの促進となり、サプライチェーン全体で脱炭素に取り組む事業者のサポートを行うことになります。リース先である企業は優良な取り組みを行っているリース会社を選ぶことで更なるメリットを得ることができるのです。

出典:環境省「指定リース事業者向詳細説明会資料」(2023/6)(p3)

ESGリース補助金の対象となる脱炭素機器の例

ESGリース補助金の対象となる機器の要件は、環境省が定める基準を満たす脱炭素機器であることと、令和5年4月1日から令和6年3月19日までに借受証が発行される機器であることです。

補助の対象となる機器は「業務部門」「産業部門」「運輸部門」の3つに分類されています。

補助対象となる脱炭素機器(機器分類別補助率)

出典:環境省「脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業説明資料」(2023/6)(p18,19)

各部門や機器の分類において定められた補助率に対して、リース事業者あるいは利用者どちらかだけの優良と認められる取り組みは1%上乗せ、どちらもが優良と認められる極めて先進的な取り組みは2%上乗せとなります。

指定リース事業者と優良取組認定事業者の違い

ESGリース補助金の給付を受けるには、「環境大臣が一定の要件を満たすと定めたリース事業者(指定リース事業者)」から「脱炭素機器をリースにより提供するもの」という条件を満たす必要があります。

指定リース事業者は、経営の安定性やESG経営への積極性、コンプライアンス等の観点から総合的な審査を受けることで認定されます。また、指定リース事業者の中で顕著な実績や取り組み、新たなマーケット創出など追加性のある取り組み、自治体事業に積極的に関与した取り組みなどの条件を満たしている事業者は、環境省から認証ロゴマークの付与や認定証の交付がされ、「優良取組認定事業者」として認められます。

出典:一般社団法人環境金融支援機構「令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業)に係る指定リース事業者及び令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業)に係る優良取組認定の公募について」(2023/04/10(p3,4,5)

2. ESGリース補助金の申請方法

ESGリース補助金の申請、問い合わせは「一般社団法人 環境金融支援機構 ESGリース促進事業部」が取り扱っており、受付期限は令和6年3月までとなっています。詳しい申請方法についてみていきましょう。

ESGリース補助金申請の流れ

国(環境省)への補助金の申請は、リース元の指定リース事業者が行うことになります。

ESGリース補助金申請の流れ

出典:環境省「脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業補助金制度のご案内」(p2)

リース先となる企業は、リース物件の補助対象機器の基準適合確認資料を添付した「ESGリース促進事業補助金利用申し込み書」をリース事業者へ提出することにより申請が可能となります。

補助金は申請した指定リース事業者に交付されますが、特約により全額をリース料の低減に利用する等、必ず「ESGリースの契約」に用いられることが交付の条件となっています。

出典:環境省「脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業補助金制度のご案内」(p2)

ESGリース補助金の申請に必要な書類や申請期間について

リース先の企業は、リース物件の補助対象機器の基準適合確認資料を添付した「ESGリース促進事業補助金利用申込書」を利用する指定リース事業者へ提出しなければなりません。

申請期間は令和5年の6月16日を1回目の期限として4回に分けられ、令和6年の3月19日までとなっています。

ESGリース補助金のスケジュール

出典:環境省「脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業補助金制度のご案内」(p1)

※こちらは国への申請を行うリース会社に対するスケジュールとなりますので、リース先となる企業はリース会社の申請が間に合うように契約・利用申し込み書の提出を行う必要があります。

3. ESGリース補助金の活用事例

ESGリース補助金はすでに様々な企業や自治体で活用されています。ここではESGリース補助金を利用した企業・自治体の活用事例についてご紹介します。

株式会社エンジン(三井住友ファイナンス&リース株式会社)

所在地

福島県

導入設備

低燃費型建設機械

補助金額

92.3万円

補助率

3%(総リース料に対する)

株式会社エンジンでは、低燃費型の建設機械を導入したことで、年間約21トンのCO2排出削減につながり、エネルギーコストは年間約76万円の削減となっています。また、従来型建設機械に比べ機械運転時の稼働音が抑えられ、周辺環境への影響の低減がみられました。さらに、環境配慮型の機械導入により、工事受注時の他社との差別化が図られ、競争率の向上にもつながっています。

えともタクシー株式会社(ごうぎんリース株式会社)

所在地

島根県

導入設備

EV自動車

補助額

21.8万円

補助率

5%(総リースに対する)

えともタクシー株式会社では、従来のLPG車からEV車へ更新し、年間約6トンのCO2排出削減となり、ガソリンから電力に燃料転換することにより、エネルギーコストも年間約41万円の削減を達成しています。また、走行時の騒音が軽減し、快適な走行空間の創出にもつながっています。自社敷地内に充電スポットを設置したことで、給ガスの手間を省くことができ、業務の効率化も図られています。

株式会社ニッコークリエート(商工中金リース株式会社)

所在地

栃木県

導入設備

高効率連続溶解保持炉

補助額

約27万円

補助率

2%(総リースに対する)

株式会社ニッコークリエートでは、高効率連続溶解保持炉を導入することで、従来型設備で発生していた原材料の付着による燃焼効率の低下が減少し、同じ量の原材料から生産できる部品数量が増加して、生産性が向上しました。高効率機械の導入で年間約85トンのCO2排出削減となり、年間約204万円のエネルギーコスト削減となっています。

株式会社黒田製作所(株式会社めぶきリース)

所在地

茨城県

導入設備

高効率切削加工機

補助金額

約29万円

補助率

2%(総リース料に対する)

株式会社黒田製作所では、高効率切削加工機の導入により、年間のCO2排出量を約5トン、コストを年間約18万円削減することができました。また、導入前の切削加工機では、旧式のため不具合や危険を伴う作業もありましたが、高効率の切削加工機の導入により、生産性の向上や社員の安全性の担保、作業時のストレス軽減が図られています。

出典:環境省「金融的支援による脱炭素化推進事業」(p7~22)

4. まとめ:ESGリース補助金を利用し、サステナブル経営を実践しよう!

これからの企業経営には環境に配慮したサステナブルな取り組みは必須となります。その際に必要になるのは温室効果ガスの排出を削減できる脱炭素設備の拡充となるでしょう。

国としてもこの脱炭素機器の導入の促進を目指し企業へのサポートとして補助金の交付を行っています。この制度を利用することで設備投資の初期費用を抑えることができるうえに、ランニングコストの削減も可能となっています。

申請はリース会社により行われますが、依頼するリース会社の取り組み内容により補助金の上乗せもありますので、リース会社の選択についてはよく検討してみましょう。

すでにESGリース補助金を利用している企業も多数あり、温室効果ガスの排出削減への効果の他、ランニングコストの削減についてもしっかりと結果がでています。これから脱炭素機器の導入を考えている企業・事業者の方はぜひ参考にしてみてください。

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