なぜ日本は温室効果ガス削減が求められるのか?削減目標と共に徹底解説

2020年10月、菅総理の所信表明演説にて、日本の温室効果ガスの削減目標「2050年カーボンニュートラル」が掲げられました。2019年12月のCOP25で「化石賞」を受賞した日本への批判と打って変わり、世界で大きく評価された所信表明です。しかし、温室効果ガスの削減が世界的に重要であることはよく知られていますが、化石賞への批判や所信表明の評価に見られるように、日本が温室効果ガス削減を世界から強く求められているのはなぜでしょうか。今回は日本の温室効果ガス事情について、その詳細に迫ります。

目次

  1. 日本の温室効果ガス排出量は世界5位
  2. 日本の温室効果ガス削減目標とは?企業の対策と共に解説
  3. 温室効果ガス削減を企業が行う際の注意点
  4. まとめ

1. 日本の温室効果ガス排出量は世界5位

現在、日本はカーボンニュートラル実現に向け様々な取り組みを行っていますが、実際に、日本がどれほどの温室効果ガスを排出しているのでしょうか。世界と比較してみましょう。

日本の温室効果ガス排出量は世界と比較して5番目にランキングしており、1位から順に中国、アメリカ、インド、ロシアとなっています。1位の中国は毎年約90億tほどの温室効果ガスを排出しており、世界全体の排出量328億tの30%を占めています。一方で日本は世界全体の排出量の約3.4%にあたる8.9tを排出しています。

世界規模で見ると排出ランキングは上位ですが、排出量1位、2位の国と比較すると非常に高いとは言えないかもしれません。

出典:JCCCA『データで見る温室効果ガス排出量(世界)』

日本の温室効果ガス削減目標は世界的に低い?

ではなぜ日本は世界から温室効果ガスの削減を強く求められるのでしょうか?その原因の一つに温室効果ガスの削減目標が低かったことが挙げられます。

日本と同様に他の先進国はどれ位の温室効果ガスの削減目標をかかげているのでしょうか?

基準年よりイギリスは57%、フランスは40%、ドイツは55%、EUは40%、アメリカは28%の減少を目標として掲げており、日本はというと26%と世界と比較して日本の掲げる目標は低いと言えます。そのため各国からさらなる温室効果ガスの削減努力を求められています。

しかし高い目標を掲げた国の全てが目標通りに進展しているわけでもなく、目標ラインの実現には届いていない国も多くあります。

出典:資源エネルギー庁『エネルギー白書2019 第1部第2章第2節1.主要国のGHGの削減状況(中期目標の進捗)』

日本は低炭素化・非化石化へと転換できていない

目標に届かない国が多々ある中、日本が批判を受ける理由は、石炭・石油・天然ガスなどの化石資源への依存度の高さにあります。

温室効果ガス削減のために、多くの二酸化炭素が排出されるエネルギー供給源となる化石資源の依存を減らす取り組みや化石資源を使用したとしても二酸化炭素をあまり出さないものに代替するような工夫をしなくてはなりません。

しかし、日本では今もなお化石資源によるエネルギー供給に強く依存しています。一時は原子力発電を活用することで化石資源への依存は弱まりつつありました。しかし2011年東日本大震災による原発事故の影響や、2021年柏崎刈羽原発におけるテロ対策の脆弱さ判明など問題が積み重なり、原子力をエネルギーとして使用するには安全面が不十分とされています。そのため日本では、非化石資源による代替エネルギーの確保が確立されていません。こういった点も日本が温室効果ガス削減を追求される要因になります。

このように低炭素化や非化石化への転換は欧米諸国と比較して進んでいません。さらに目標値も低い事と相まって世界各国からの視線も強くなってしまったのです。

2. 日本の温室効果ガス削減目標とは?企業の対策と共に解説

国際的に温室効果ガス削減にさらなる努力が必要な日本ですが、どのような目標が掲げられており、企業はどのような対策を講じるべきなのでしょうか?紐解いていきましょう。

日本の温室効果ガス削減目標は?

2013年を基準年として、日本は温室効果ガス排出を2030年度までに26%減少させることを目標としています。加えて以前までは2050年に温室効果ガス排出を80%までに減少と目標を掲げていたものの、2020年10月菅総理の演説で2050年に温室効果ガス排出ゼロを目標にすると発表されました。近年ますます温室効果ガスに関する目標が改訂されています。

温室効果ガス削減目標のために企業がすべきことは?

温室効果ガス削減のためには企業も低炭素化や非化石化の工夫をしなくてはなりません。ではどのような対策を講じることができるのでしょうか?実際に対策を講じている事例をあげてみました。

佐川急便株式会社

佐川急便では運送に使う自動車にガソリンではなく天然ガスや電気自動車などを採用することで温室効果ガスの削減に貢献しています。

電気自動車は言うまでもなく、天然ガスで動く自動車はガソリン自動車より排出する二酸化炭素の量が少なく配送時の低炭素化を実現しており、エネルギーミックス2030にも繋がる環境配慮をしています。

出典:佐川急便株式会社『脱炭素社会の実現に向けて|環境への取り組み』

株式会社ネイチャーズウェイ

次の事例はナチュラルオーガニックコスメを販売している化粧品会社のネイチャーズウェイです。

ネイチャーズウェイでは使用済みの容器回収や、製造工場の電気を自然エネルギー由来にしたりするなど環境に負荷をかからないような取組みを行っています。

このように化粧品会社から運送業と幅広い種類の企業で低炭素化や非化石化の取組みは行われており、近年そのスピードは上昇しています。

出典:株式会社ネイチャーズウェイ『環境保護の取り組み』 

3. 温室効果ガス削減を企業が行う際の注意点

社会全体が温室効果ガスの削減に動き始めており、企業にも温室効果ガスの削減対策を求められています。そのような対策を講じながら企業の収益を維持し続けている企業もありますが、全ての企業がそうとは限りません

温室効果ガス削減の努力が不足しているとされる企業のように、企業によっては温室効果ガス対策で自社の利益を大きく損なう危険性があります。そのため温室効果ガス削減の取組みは各企業ごとに作る必要があります。

また、現時点での科学力ではどうしても二酸化炭素を多く排出してしまう産業もあります。

そのような不可抗力も認識したうえで変更できる点から低炭素化や非化石化などを勧めるようにしましょう。

4. まとめ

日本の温室効果ガスの現状を紹介し、なぜ日本は世界から温室効果ガスの削減を求められているのかについて紐解いてきました。

温室効果ガス削減の取組みは今に始まった事ではなく、数十年前から行われてきました。自然エネルギーなどの開発が進むことで、温室効果ガスの削減が実現可能になってきたことで近年さらに動きが活発化してきました。もうすでに社会では温室効果ガスの削減といった環境への配慮は会社を評価する一つになっているため、環境への配慮をするかでは無く、どのような環境配慮をすべきかというレベルが求められています。

 

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