ISO14000とは?概要や認証取得方法をわかりやすく解説

環境マネジメントシステム「ISO14000」とは何か、わかりやすく解説します!地球環境問題への取り組みは、今や企業などの事業活動における必須事項です。そのためESG経営の定着とともに、「E:Environment」への取り組みを客観的に示すものとして、環境マネジメントシステムへ注目が集まっています。中でも国際規格であるISO14000は、関心が高まっています。ISO14000認証の大まかな流れや、認証のメリットについてもご説明します。

目次

  1. ISO14000の概要

  2. ISO14000認証取得の大まかな流れ

  3. ISO14000認証取得のメリット

  4. まとめ:ISO14000について理解を深め、認証を取得しよう

1. ISO14000の概要

ISOはスイスに本部がある「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の略称で、さまざまな国際規格を制定しています。ISO14000もその中の一種で、環境に関するいろいろな規格で構成されています。その中で基本となる規格がISO14001です。

ISO14000とは?(ISO14001との関係)

ISO14000は環境マネジメントに関する規格群であり、それぞれの規格には「ISO140XX」のように、XXの部分に番号が入ります。この規格群全体を指すときは「ISO14000ファミリー」などと呼ばれます。

ISO14001はISO14000シリーズのひとつで、先頭の01番が付されていることもわかるとおり、ISO14000の中でも中心となる規格です。ISO14001は、環境監査や環境パフォーマンス評価、ライフサイクルアセスメントなど、環境マネジメントに関する規定を行うISO14000ファミリーの中で、「環境マネジメントの仕様」について規定しています。

出典:環境省「ISO14001」

出典:日本規格協会グループ「ISO14000ファミリー規格の開発状況」 

ISO14000が注目される理由

企業が環境に関する方針や目標を自ら設定し取り組んでいくことを「環境マネジメント」といい、そのための体制・手続き等の仕組みが「環境マネジメントシステム」(EMS)です。既存のEMSは環境省の「エコアクション21」などいくつかあり、ISO14000ファミリーもそのひとつです。

持続可能な発展には、経済社会活動のあらゆる面において環境への負荷を減らしていく必要があり、そのため各企業に自主的かつ積極的な環境保全への取り組みが求められています。一方で企業にも、環境保全への取り組みを行うことには、自社の企業価値を高めることができる、今後さらに強化されると考えられる環境保全への規制に対応することができる、省資源・省エネルギーを通してコストを削減することができるといった利益があります。ISO14001含むEMSは、これらの環境保全への取り組みを後押しする有効なツールとして注目されています。

出典:環境省「環境マネジメントシステム」

2. ISO14001認証取得の大まかな流れ

ISO14000シリーズの中で、企業に対する要求事項を定めているのがISO14001です。従って企業が環境マネジメントとしてISOへの適合性を対外的に表明する場合は、ISO14001の認証を取得することになります。

ISOの認証機関

ISO14001を含む各種ISO規格では、「要求事項」が定められています。この基準を満たしているかを審査するのが「認証機関」です。認証機関となるためには認定機関からの認定を受けなければなりません。世界各国では各国の認定機関同士による相互承認が行われています(IAF 国際相互承認)。

出典:ISO NETWORK vol35「身近な日常生活でのISOマネジメントシステムが担う役割」P11

ISO14001の要求事項

ISO14001における要求事項には、以下のような項目があります。

組織の状況

利害関係者のニーズ、適用範囲の決定、環境マネジメントシステム

リーダーシップ

経営者のコミットメント、環境方針、責任・権限

計画

リスク及び機会、環境目標及び計画

支援

力量、認識、コミュニケーション、文書化した情報

運用

運用の計画・管理、緊急事態への準備及び対応

パフォーマンス評価

監視・測定・分析及び評価、内部監査、マネジメントレビュー

改善

不適合及び是正処置、継続的改善

ISO14001の要求事項は、業種・形態・規模などに関係なく適用できる汎用性をもっています。

出典:日本規格協会ソリューションズ株式会社「ISO14001:環境マネジメントシステム審査登録(認証)のご案内」

(1)環境方針の策定

ISO 14001では、環境マネジメントシステムの実行にあたって企業が備えるべき要素を規定しています。その第一歩が環境方針の策定で、企業の環境保全に向けた取り組みの基本的な考え方を、環境方針として明らかにすることが必須です。環境方針は、社内外へ公表する必要があります。具体的にはインターネットや環境報告書で公開します。

出典:財団法人 日本適合性認定協会「ISO14000 環境マネジメント」p4

(2)環境影響の評価・マニュアル作成

ISO14001では公表した環境方針に基づく目標を達成するため、計画(Plan)→実施(Do)→点検(Check)→見直し(処置 =Act)→再び計画(Plan、以下繰り返し)というPDCAサイクルを回すことが求められています。

環境方針およびその実施計画を立てるには、まずは自社の事業活動が環境へどのような影響を与えるかを評価し、その原因(環境側面)への対応を整理する必要があります。

出典:財団法人 日本適合性認定協会「ISO14000 環境マネジメント」p5

(3)環境マネジメントシステムの導入

環境方針に基づく環境評価と実施計画の次は、実行(Do)の段階です。計画で設定した目標の実現を目指して取り組むこととなります。ISO14001における要求事項は一般的な記述となっていて、具体的な目標数値などは規定されていません。各企業の実情に合った取り組みを行うことが重要です。

出典:環境省「ISO14001」

一般的な取り組みとしては、省エネルギー対策・廃棄物の削減などが広く行われています。

出典:財団法人 日本適合性認定協会「ISO14000 環境マネジメント」p8-9

(4)内部監査などによる振り返り

実行(Do)の次は点検(Check)です。ISO14001では「内部環境監査」の実施が要求事項となっており、組織の外部の人に依頼することもありますが、通常は組織内部の経営管理の改善を目的に組織自身で行います。

出典:財団法人 日本適合性認定協会「ISO14000 環境マネジメント」p5,p13

(5)審査機関による審査

自社の体制や取り組みがISO14001に適合していることを公的に証明するために、外部の審査登録機関の審査を受け登録証の発行を受けることでISO14001認証を取得することができます。審査登録機関は民間含め複数存在し、国家資格とは異なります。

出典:環境省「平成10年環境白書 第3節 3 環境配慮を事業活動に織り込んでいくために」

3. ISO14001認証取得のメリット

各企業がISO14001認証へ取り組むことで、環境問題の解決につながるほか、企業にも付加価値的なメリットをもたらします。ISO14001認証取得のメリットについて解説します。

コスト削減につながる可能性

ISO14001の認証を取得するために作業効率の見直しなど改善が図られた場合、省エネルギーや省資源・管理体制の効率化が実現し、結果としてコストが削減される可能性があります。またISO14001では事業活動が環境に与える影響をモニタリングすることになりますので、環境汚染に起因する賠償金を回避するという効果も考えられます。

優位性のある製品やサービス

ISO14001に沿った事業活動により、自社製品の環境負荷を把握することができます。より環境負荷の少ない製品やサービスを開発することで、環境負荷を軽減するだけでなく、競合他社と比べ優位性のある製品やサービスを提供することにつながります。

ステークホルダーからの信頼

ISO14001の認証を取得するには、構築した環境マネジメントシステムが規格の要求事項に合致していることを第三者機関が審査登録する必要があります。そのためISO14001の認証取得事業者は、取引先だけでなく、地域住民や行政などのステークホルダーからより信頼されるという効果が期待できます。

このような有用性から、ISO14001認証を受ける企業が業種を問わず多いのです。

出典:環境省「平成10年環境白書 第3節 3 環境配慮を事業活動に織り込んでいくために」

出典:環境省「環境マネジメントシステム」

4. まとめ:ISO14000について理解を深め、認証を取得しよう

ISO14000は環境マネジメントシステムの国際規格群です。その中でも企業への要求事項を規定したISO14001は、認証取得により環境対策への取り組みが客観的に評価される重要な規格です。

ISO14001の認証を取得するには、環境マネジメントに関するPDCAサイクルを整える必要があります。そのため審査登録機関の認定を受けているコンサルタントの支援を受けるケースが多く見られます。

ISO14001の認証取得により、企業イメージアップや環境問題に関するリスク回避につながります。ISO14000について理解し、ISO14001の認証取得を検討しましょう。

アスエネESGサミット2024資料 この1冊でLCAの基礎を徹底解説資料 サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説
アスエネESGサミット2024