環境問題へのAmazon社の取り組み【CO2排出量の削減事例】

世界各国が温室効果ガス削減に取り組んでいます。特に、二酸化炭素(以下、CO2)は、温室効果ガスのなかでも高い割合を占め、あらゆる企業がCO2排出量の削減に力を入れている状況です。

そこでこの記事では、私たちが日頃利用しているAmazon社の取り組みとCO2排出量の削減事例をご紹介します。そして、企業がCO2排出量の削減に尽力する必要性や、Amazon社のライバル社であるウォルマート社、さらには日本企業の取り組み事例について解説します。

目次

  1. CO2排出量の削減に関する世界規模の目標とは?

  2. Amazon社が掲げる環境問題への取り組み事例

  3. 日本企業の環境問題に関する状況

  4. まとめ:Amazon社のCO2排出量の削減活動をきっかけに様々な会社のCO2削減活動を知ろう!

1. CO2排出量の削減に関する世界規模の目標とは?

CO2の排出量の削減がなぜ必要なのか、削減のための世界規模の取り組みや目標、各国の削減目標について解説します。

(1)CO2排出量の削減の必要性

産業革命以来、人間が石油や石炭などの化石燃料を燃やしてエネルギーを取り出し、経済を成長させてきた結果、大気中のCO2濃度は、産業革命前に比べて40%も増加しており、以下のような影響がでています。

  • 気温の上昇

1880年から2012年の間に世界平均地上気温は0.85℃上昇しました。さらに最近30年の各10年間は、1850年以降のどの10年間より平均気温が高くなっています。

  • 二酸化炭素(CO2)濃度の増加

産業革命以来、大気中のCO2濃度は40%増加しています。

  • 将来の予測

21世紀末には、世界の平均気温がさらに2.6〜4.8℃上昇する可能性があります。

出典:環境省『地球温暖化の現状』

(2)世界規模の温室効果ガス削減目標

CO2含む温室効果ガスの削減目標は、2015年にパリで開催された「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」で採択された「パリ協定」をもとに定められました。世界全体で地球温暖化問題に取り組んでいます。

世界全体の目標としては、以下の2点が掲げられています。

  • 世界の平均気温上昇を、産業革命以前と比較して2℃より低く保つこと、そして1.5℃に抑えるよう努める

  • 上記のために、早急に温室効果ガス(CO2含む)排出量を減らし、21世紀後半には人為的排出量と吸収量のバランスをとる

各国は、CO2排出量の削減目標を5年ごとに提出し、更新していくことが義務づけられています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター『パリ協定』

(3)日本を含む各国の削減目標

パリ協定では、世界規模の目標の他に、各国独自の削減目標を定めることが決められています。ここでは、日本を含む5ヵ国の削減目標を紹介します。

  • 日本:2030年度において、46%削減(2013年度比)

  • 米国:2030年度において、50~52%削減(2005年度比)

  • 英国:2030年度において、68%以上削減(1990年度比)

  • 仏国:2030年度において、55%以上削減(1990年度比)

  • 韓国:2030年度において、40%削減(2018年度比)

上記5ヵ国のなかでは、イギリスが68%以上削減という大きな目標を掲げています。その5年後である2035年には78%の削減を目標とするなど、国全体でCO2排出量の削減に意欲を見せています。

出典:外務省『日本の排出削減目標』(2022/10/25)

2. Amazon社が掲げる環境問題への取り組み事例

CO2排出量の削減に取り組む企業のなかで、世界的な大手通信販売業者であるAmazon社の取り組みを解説します。Amazon社は先日、同社初となるCO2排出量の削減に成功したと報告しました。

Amazon社 | 「気候変動対策に関する誓約」への参加企業が100社

Amazon社とGlobal Optimism社は「The Climate Pledge」という取り組みを共同で始めました。この取り組みは、2040年までに炭素排出量の実質ゼロ化を目指すものです。

この誓約には、Alaska Airlines社、Colgate-Palmolive社、HEINEKEN社、PepsiCoTelefónica社、Visa社などの有名企業も含まれており、合計で105社が参加しています。参加企業は、全世界で年間1兆4,000億ドル以上の売上と、16カ国25業種で500万人以上の雇用を創出しています。

誓約の内容は、温室効果ガス排出量の定期的な計測と報告、効率改善、再生可能エネルギー、原材料削減などの炭素排出量削減戦略を実行、2040年までに年間炭素排出量の実質ゼロ化を実現するための取り組みなどがあります。

Amazon CEOであるジェフ・ベゾス氏のコメント

Amazon社のCEOであるジェフ・ベゾス氏は、「Amazonが『The Climate Pledge』を共同調印し、パリ協定の目標を10年前倒しで達成することを企業に呼びかけ始めて2年も経っていない今日、署名企業の数はすでに100社を超えました。それら署名企業の売上高の合計は1兆4,000億ドルを超え、雇用する従業員数は500万人を超えます。

Amazonは署名企業と共に、総合的な規模を活かし、さまざまな変化やイノベーションを起こすことで、経済の脱炭素化を進めていけると自負しています」とコメントしました。

出典:Amazon『2040年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「気候変動対策に関する誓約」への参加企業が100社を突破』(2021/5/12)

4. 日本企業の環境問題に関する状況

ここでは日本企業のCO2排出量の削減状況について解説します。

温室効果ガス排出量削減を考える際、今後注目される可能性が高い指標「炭素利益率(ROC)」の上位100社ランキングが発表されました。

ランキング1位は日本を代表する土地活用の専門会社、大東建託株式会社です。同社は2030年までにCO2排出量の55%削減(2017年度比)を目指しており、2021年にはCO2排出量をマイナスにする賃貸集合住宅を埼玉県草加市に開発するなどの取り組みも行っています。

2位は日本を代表する大手の医薬品メーカー、中外製薬株式会社です。中外製薬株式会社は2050年ゼロ宣言を行い、2030年にはCO2排出量の60%〜75%削減を目指しており、また2025年にはすべての工場の電力をサステナブル電力に転換することを目指しています。

出典:東洋経済:「炭素利益率が高い企業」ランキングTOP100社(2023/05/11)

出典:大東建託『CO2排出量を“マイナス”にする「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)賃貸集合住宅」を開発』

出典:中外製薬『気候変動対策』

出典:東洋経済『CSR企業総覧(ESG編)』(202211/28)

5. まとめ:Amazon社のCO2排出量の削減活動を見習い、企業の削減活動に活かそう!

産業革命以降、化石燃料の使用によるCO2の排出が増加し、気温の上昇や環境への影響が顕著になってきました。この問題に対処するため、2015年にパリで開催された「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」で「パリ協定」が採択され、世界の平均気温上昇を2℃以下に抑えることが目標とされました。

企業の取り組みとして、Amazon社は「The Climate Pledge」という取り組みを開始し、2040年までに炭素排出量の実質ゼロ化を目指しています。自社での取り組みを行う際もCO2排出量を把握し、削減目標を設定することが重要です。サプライチェーン全体での環境対策の推進など、データに基づいた具体的な削減計画を策定し、取り組んでみましょう。

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