気候変動の現状は?影響もわかりやすく解説

2023年の夏は非常に暑く、地球沸騰化が話題になっていました。気候変動の現状から影響までをわかりやすく解説します!最近では気象災害の激甚化が進んでおり、これも気候変動の影響と言われています。これからの時代に企業活動を行う上で避けては通れないカーボンニュートラルについても、地球温暖化や気候変動との関係を取り上げます。

目次

  1. 気候変動とは

  2. 気候変動に関する諸要素の現状

  3. 気候変動とカーボンニュートラル

  4. まとめ:気候変動の現状について理解し、カーボンニュートラルの取り組みを進めよう

1. 気候変動とは

現在地球規模で、気候変動が進行中であると言われています。ここでは、そもそも気候変動とは何なのか、そして何がその原因なのかについてわかりやすくご紹介します。

気候変動は長期的な変化

気象パターンや気温の長期的な変化を指して、気候変動と呼びます。朝と晩で天気が変わった、というような程度では気候変動とは言いません。

たとえば1800年代後半と比較して、現在の地球は気温が1.1℃上昇しています。いわゆる地球温暖化現象ですが、温暖化の原因である温室効果ガスの濃度はこの200万年で最も高い水準となっています。

出典:国際連合広報センター「気候変動とは」 

気候変動の原因とは

現在の気候変動の主要因は温暖化です。しかし温暖化の原因はひとつではありません。地表に熱を閉じ込め温暖化を引き起こすのは「温室効果ガス」ですが、温室効果ガスが発生する原因はたくさんあるからです。

発電・商品生産・森林伐採・輸送・食料生産・大量消費など、産業や日常活動の多くによって、温室効果ガスが排出され、地球温暖化の原因となっています。事業活動の多くは温室効果ガスの排出につながりますので、地球温暖化は決して他人事ではありません。

出典:国際連合広報センター「気候変動の原因」

2. 気候変動に関する諸要素の現状

世界各地で、気候や気象の極端化が見られています。たとえば、極端な高温・大雨・干ばつなどです。これらの現象は世界中全ての人間が居住する地域において、影響を及ぼしていると言われているのです。

しかし気候・気象の極端化は、自然に起きているものではありません。その原因の大部分は、人類の活動によって生み出されています。すなわち人類は、自分たちの行為によって自らの生活環境を悪化させているとも言えるのです。どのような要素が気候変動に関わっているのか、わかりやすくご紹介します。

(1)地球温暖化

既に見たように、現在の地球における気候変動の最も大きな要因は温暖化です。世界の平均気温は、工業化以前(1850~1900年)から現在までに+1.09℃と、過去2000年間の中で最も急激に上昇しています。

出典:IPCC「気候変動2021 自然科学的根拠」P3

(2)温室効果ガス濃度の上昇

ここまで急に温暖化が進む原因は、温室効果ガス濃度が上昇したことです。温室効果ガスとは、二酸化炭素・メタン・一酸化窒素のことで、大気中に熱を蓄積する効果があります。自然界に元来から存在する気体ですが、19世紀以降は化石燃料の燃焼をはじめとする人間活動によって、これらのガスの大気中濃度が著しく増加しているのです。

出典:IPCC「気候変動2021 自然科学的根拠」P4

(3)海洋環境の変化

こうした急激な気温の上昇は、海洋環境にも大きな変化をおよぼしています。たとえば海面水位の上昇・海洋の昇温・海洋酸性化・北極海の海氷減少などが挙げられます。いずれも過去数千年で例のないレベルで進行していると言われているのです。

出典:IPCC「気候変動2021 自然科学的根拠」P7

気温上昇対策は加速が必要

温暖化はそれ自体が気候変動であり、気象災害の激甚化など他の気候変動の原因でもあり、さらには海洋など気象以外の環境にも大きな影響を与えています。

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という国際組織では、現在打ち出されている政策だけでは「気温上昇1,5~2,0以内」という、パリ協定(2015年、国連気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21))の目標は達成できず、対策の加速化が必要であると指摘しています。

そのためには温室効果ガスの排出を抑制しなければなりませんが、世界全体の排出量は増加し続けており、特に中国を含む東アジアでは大きく増えています。

世界全体の正味の人為的なGHG排出量(地域別、1990-2019年)出典:資源エネルギー庁「温暖化は今どうなっている?目標は達成できそう?」(2022/11/10)

日本における気候変動

21世紀末に世界の平均気温が工業化以前と比較し2℃上昇した場合、日本では以下のような影響が出ると言われています。

  • 年間平均気温1.4℃上昇(猛暑日・熱帯夜の増加)

  • 1時間に50mm以上の降水となる頻度1.6倍(大雨の増加)

  • 強い台風の増加

  • 南方の海域の酸性化、オホーツク海の海氷減少

出典:気象庁「日本の気候変動2020」

3. 気候変動とカーボンニュートラル

現在の気候変動は、主に温暖化によってもたらされています。その温暖化を抑制するのがカーボンニュートラル(炭素中立)です。すなわち気候変動の行く末については、カーボンニュートラルが鍵を握っているのです。ここでは、カーボンニュートラルと気候変動の関係について解説します。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量をバランスさせ、排出量を実質的に0とすることを言います。ここでの吸収というのは、森林管理や植林などを行い植物によって二酸化炭素などを吸収させることです。

大気中の温室効果ガス濃度が高くなることが温暖化の原因ですから、排出された分を全部吸収できれば濃度は上昇せず、温暖化に歯止めをかけられます。もちろんたくさん吸収するならその分排出してよいというものではなく、そもそもの排出量を抑えることも重要です。

出典:環境省 脱炭素ポータル「カーボンニュートラルとは」(2021/7)

気候変動対策はカーボンニュートラルがポイント

世界各地で増加している熱波・干ばつ・豪雨・巨大台風といった異常気象は、気候変動と強い関連があります。今や気候変動は、地球にとっての危機とも言われているのです。そのため気候変動最大の要因である温室効果ガスの排出を減らすべく、さまざまな取り組みが進められています。

たとえばCO2を排出しない電気自動車、太陽光発電や風力発電などのクリーン・エネルギーを利用することは、身近なカーボンニュートラル対策となります。また排出されるCO2を回収して地下や海中に貯留する技術の開発、CO2を吸収する森林の面積拡大などもカーボンニュートラルを実現するためには重要です。

出典:独立行政法人日本貿易振興機構「気候変動に具体的な対策を―カーボン・ニュートラルに向けて何ができるのか?」

4. まとめ:気候変動の現状について理解し、カーボンニュートラルの取り組みを進めよう

甚大な気象災害を世界中で引き起こす気候変動と温暖化の関係について、わかりやすく解説しました。温暖化を食い止め気候変動を緩和することは、今や地球規模での課題です。従ってESG経営を行う上では、温暖化対策としてのカーボンニュートラルへの取り組みは必須事項と言えます。気候変動の現状を十分に理解し、カーボンニュートラルを意識した事業活動を進めましょう!

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