「マテリアリティ」とは?企業の未来を判断する取り組みについてご紹介!

いまサステナビリティ関連ワードとして注目されている「マテリアリティ」。「重要課題」、「物事の重大さ」と訳されるケースもありますが、その意味や目的は一体どのようなものなのでしょうか?

この記事では、マテリアリティとは何か、SDGsとの関係や、特定・活用のプロセスまで、わかりやすく解説します。また、マテリアリティを特定しSDGsに取り組んでいる企業の事例もご紹介しますので、ぜひご参考になさってください。

目次

  1. マテリアリティについて

  2. マテリアリティの特定プロセス

  3. マテリアリティへの取り組み事例

  4. まとめ:マテリアリティは企業の持続的(サステナビリティ)な成長に不可欠

1. マテリアリティについて

近年、各企業がサステナビリティに対してどう取り組んでいるのか、社会的な関心が高まっています。ここではマテリアリティについて解説します。

(1)マテリアリティとは?

マテリアリティとは、組織・企業にとっての「重要課題」を指す言葉です。マテリアリティは、多くの企業において自社の企業活動において重要とされる課題をわかりやすく示すものとして活用されています。

世界中にあふれる多種多様な課題に、どのように優先順位をつけ、どのようなことから積極的に取り組もうとしているのか、それをステークホルダー(企業の利害関係者)に提示するのがマテリアリティの役割といえます。

出典:経済産業省「事務局説明資料」p19

(2)マテリアリティが重要視される背景

最近では、マテリアリティを公開する企業も少なくありません。この背景には、非財務指標の重要性が高まったことが挙げられます。非財務指標とは、CSR(企業の社会的責任)やサステナビリティの取り組みのことです。

多くの社会問題や環境問題を抱えている現在、課題解決のためには企業の協力が不可欠です。非財務指標への取り組みを怠っている企業は、社会的な課題に関心がないものとみなされ、企業イメージを損なうリスクを負っているのが今の時代といえるでしょう。

出典:経済産業省「SDGs経営ガイド 」(2019年5月)p.26

(3)マテリアリティとサステナビリティ(SDGs)の関連性

マテリアリティは、企業のSDGsへの取り組みと、その結果の公開においても使われています。SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、17の目標と169の達成基準が存在し、SDGsにおける課題を達成するには、世界中の企業の協力が不可欠です。しかし企業は、これらの目標と達成基準すべてに取り組まないといけないというわけではありません。

自社にとって特に関連の深い目標に対して、経営資源を重点的に投入することで、SDGsに最大限貢献することができるのです。その目標がどれなのかを見定めるために、マテリアリティの策定が非常に重要となります。

出典:経済産業省「SDGs経営ガイド 」(2019年5月)p.14

2. マテリアリティの特定プロセス

マテリアリティの特定・活用方法は、企業によってさまざまです。ここでは1つの例として、3つのプロセスをご紹介します。

(1)課題の洗い出し

まずは、事業の社会課題をリストアップするところから始めます。ここでいう社会課題とは、例えば、「CO2排出量を削減する」「従業員一人ひとりに教育投資をし人材不足を補う」といったものです。各種ガイドラインを活用したり、ステークホルダーからの意見を取り入れたりして、候補リストを作成する企業が多いようです。

出典:経済産業省「経済産業政策局 産業資金課・企業会計室 事務局説明資料」(2021年6月)p15.16

(2)分析

次に、洗い出した課題が、一定の重要度に達しているかを判断するための分析を行います。例えば、気候変動という課題の場合は、「気候変動に対してステークホルダーはどれくらい関心を持っているのか」「企業と環境・社会において気候変動は全ステークホルダーへどの程度、どのような影響を与えるか」などを分析します。

出典:経済産業省「経済産業政策局 産業資金課・企業会計室 事務局説明資料」(2021年6月)p15.16

(3)マテリアリティの特定

課題の優先順位が決まれば、優先度の高い課題からマテリアリティを特定していきます。サステナブルな社会の構築におけるマテリアリティ、企業価値向上に繋がる事業におけるマテリアリティのから重要課題を特定したり、社内のサステナビリティ委員会における議論、経営会議、取締役会における審議・決議を経て、重要課題を特定するなど、各社の状況や目的に応じて柔軟に行います。

出典:経済産業省「経済産業政策局 産業資金課・企業会計室 事務局説明資料」(2021年6月)p15.16

3. マテリアリティへの取り組み事例

最後に、国内企業のマテリアリティと、その取り組み事例を3つご紹介します。

(1)ソフトバンクグループ株式会社

ソフトバンクグループ株式会社は「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、企業価値の向上に努めています。そしてこの経営理念を、成長戦略である「Beyond Carrier戦略」を通じて具現化するために、5G(第5世代移動通信システム)・IoT・AI(人工知能)などのテクノロジーによって社会課題の解決に貢献できる分野・テーマとして、ソフトバンクおよび子会社の6つのマテリアリティを特定しました。ソフトバンクは自社の経営資源を重点的に投入し、これらの解決を通してグループ全体の事業成長を目指しています。

出典:ソフトバンク「マテリアリティ(重要課題)」

(2)味の素株式会社

味の素株式会社は、2015年(平成27年)からマテリアリティへの取り組みを続けています。刻々と変化する社会情勢に対応し、また消費者・協力企業・従業員・株主などの意見や期待を踏まえて、継続的に見直しを続けています。2021年度(令和3年度)には、内容を更新し、11のマテリアリティを掲げました。また、マテリアリティから新しいビジネスの機会を発見したり、リスクを未然に抽出したり、それらへの取り組みを進めることで新たな価値創造を目指しています。

出典:味の素株式会社「味の素グループのマテリアリティ」

※上記2社の取り組み情報は2023年7月31日時点に掲載されている内容になります。最新の情報は各社ホームページをご参考ください。

4. まとめ:マテリアリティは企業の持続的(サステナビリティ)な成長に不可欠

マテリアリティとは、企業経営の領域における優先的に取り組むべき重要課題を指す概念です。現代の企業経営では、ステークホルダーの関心が非財務情報にも向けられています。企業が中長期的な発展を遂げるためには、社会や環境に対する取り組みが欠かせません。企業の持続的な成長のためにも、マテリアリティを特定し、課題解決に向けて中長期的な計画を立ててみましょう。

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