ダイバーシティ研修とは?企業に求められる理由と効果、研修のポイントを解説

この記事では、ダイバーシティ研修について、企業に求められる理由やその効果、また研修ポイントを中心に解説しています。多様性が求められる現代において、企業はダイバーシティを重視し取り組む必要があります。ダイバーシティの導入を考えている法人の皆さまは、参考にしてみてください。

目次

  1. ダイバーシティ研修とは?

  2. ダイバーシティ研修が企業に必要とされる理由

  3. ダイバーシティ研修の効果

  4. ダイバーシティ研修を実施する際のポイント

  5. まとめ:ダイバーシティ研修は企業価値が高まる!

1. ダイバーシティ研修とは?

ダイバーシティ研修とは、企業等の多様な人材が属する組織が、人種、性別、性的指向、宗教、障害の有無、価値観、またキャリアや経験、働き方などの多様性(ダイバーシティ)を全社的に浸透させるためのプログラムです。それにより、イノベーションの創出、生産性の向上、自社の競争力強化に繋がります。

経済産業省をはじめ日本政府は、日本経済の持続的成長にとってダイバーシティ経営は不可欠と考え、各企業のダイバーシティ経営を後押しする取り組みを行っています。

出典:経済産業省「ダイバーシティ経営の推進について」

2. ダイバーシティ研修が企業に必要とされる理由

政府の後押しを受けるほどダイバーシティ経営は重視されていますが、これほどダイバーシティが企業に必要とされるのは、どのような理由があるのでしょうか。ダイバーシティ研修が企業に必要とされる理由は、以下のことが考えられます。

(1)企業が競争優位を築くための経営戦略の一環

ダイバーシティ研修は、企業が競争優位を築くための経営戦略の一環とされています。現在、ビジネスのグローバル化が進み、それによる市場環境や競争環境の変化、および不確実性が加速しています。

それに対応するためには、多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる環境を提供することによりイノベーションが生み出され、また価値創造に繋がっていくとされています。

したがって、ダイバーシティ研修は、企業が置かれた市場環境や技術構造の中で競争優位を築くために必要な人材活用戦略と捉えることができます。

出典:経済産業省「成長戦略としての女性活躍の推進」p45

(2)経営上の成果に繋げるため

ダイバーシティ研修は、従業員の多様性の向上や、福利厚生や企業の社会的責任を目的とするものではなく、経営戦略を実現する上で不可欠な多様な人材を確保することです。

多様な人材が意欲的に仕事に取り組む職場環境や、働き方の仕組みの整備および構築を通じ、人材の適材適所の実現、個人の能力を最大限発揮させるためでもあります。

出典:経済産業省「成長戦略としての女性活躍の推進」p45

3. ダイバーシティ研修の効果

企業におけるダイバーシティ研修の必要性を解説してきましたが、研修を実施することによりどのような効果が得られるのでしょうか。以下は、ダイバーシティ研修の主な効果です。

(1)グローバルな人材獲得力の強化

デジタルテクノロジーの発展とともに成長したミレニアル世代の人材は、就職先を選定する際に企業の多様性や受容性の方針を重視する傾向がみられます。とくに女性は、この傾向が顕著とされています。実際に、経済産業省がミレニアル世代を対象に就職先の多様性・需要性の方針の重要性を調査した結果、女性86%・男性74%の過半数が重要であると回答したと発表しています。

したがって、ダイバーシティ研修を実施することにより、性別、国籍、障害の有無等を問わず優秀な人材の確保に繋がります。

出典:経済産業省「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」p6

(2)リスク管理能力および取締役会の監督機能の向上

ダイバーシティ化は、経営トップにあたる取締役会が率先して、全社的かつ継続的に取り組むべきことです。従業員の異なる性別、国籍、価値観を受け入れ、また職場風土や働き方を多様化するためには、取締役員はその役割と責務を実行的に果たすための知識や経験、能力を全体としてバランスよく備え、ジェンダーや国際性の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成しなければなりません。

それにより、取締役会の監督機能および事業運営におけるリスク管理能力が向上するとされています。

出典:経済産業省「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」p8

(3)イノベーション創出の促進

ダイバーシティ研修の目的・意義は、多様な人材を活かし、個々の能力を最大限発揮できる機会を提供することにあります。多様な人材が異なる分野の知識、経験、価値観を持ち寄り、それぞれの従業員が持つ潜在的な能力や特性を見極め、適材適所に配置することにより、新しい発想(イノベーションの創出)の促進に繋がります。

ダイバーシティ経営により製品・新しいサービスの開発や製造、販売手段の新たな開発が可能になり、自社の競争力が強化されます。

出典:経済産業省「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」p10 p11

4. ダイバーシティ研修を実施する際のポイント

ダイバーシティ研修を実施することにより、グローバルな人材の確保、リスク管理および監督機能の向上、イノベーションの創出促進という効果が期待できます。では、企業はどのようにしてダイバーシティ研修を実施すべきなのでしょうか。ここでは、ダイバーシティ研修を実施する際のポイントを解説します。

(1)自社の経営理念とダイバーシティ経営の明確化

ダイバーシティ研修は、多様的な経営を通じた企業成長を目的としているため、全社的な取り組みが重要なポイントです。そのためには、経営トップが経営戦略にダイバーシティが不可欠であることを明確に宣言しなければなりません。その上で、ダイバーシティに関する具体的な指針、KPI・ロードマップ等の具体的な行動目標を策定することが大切です。

出典:経済産業省「~三拍子で取り組む!~多様な人材の活躍を実現するために」

(2)経営トップを核にした体制・計画づくり

ダイバーシティ研修の実施には、経営トップを核とした推進体制の構築と、推進する上での明確な目標設定が必要です。経営トップがプロジェクトリーダーとして責任を持って取り組むことにより、従業員ひいては関連会社においてダイバーシティが浸透します。

また、具体的な目的を定めることにより、自社のダイバーシティを推進する目的を明確にすることが可能となります。

出典:経済産業省「~三拍子で取り組む!~多様な人材の活躍を実現するために」

(3)従業員の意識改革・能力開発

ダイバーシティは、単に女性や外国人を登用するだけが目的ではありません。仮に知識や経験の乏しい女性を取締役に抜擢・登用したとしても、本来の能力を発揮できずに挫折させる可能性があります。

したがって、ダイバーシティ研修では多様な人材が組織で十分に実力を発揮するために、ダイバーシティを意識付ける研修スキルアップの機会の増加、きめ細やかなフォローアップを実施することが必要とされています。

それにより、従業員一人ひとりが自律的にキャリアパスを構築し、やりがいを持って仕事に向き合うことに繋がります。

出典:経済産業省「~三拍子で取り組む!~多様な人材の活躍を実現するために」

(4)管理者層の意識改革・スキル開発

ダイバーシティ研修には、従業員だけではなく管理者が積極的に参加をし、ダイバーシティに関する意識改革スキル開発を行う必要があります。管理者層の意識改革は、ダイバーシティ経営において最も重要な課題とされており、管理者の意識が低いと従業員の個の能力が十分に発揮されず、ダイバーシティをうまく推進できなくなります。

したがって、管理者層にダイバーシティ経営の目的を理解する機会を設けることが推奨されています。また従業員が個の能力を発揮できる環境を作るためには、管理者のマネジメントスキルが必要です。そのため、研修やワークショップを通じて管理者としての意識改革、およびマネジメントスキルの向上を図る取り組みが必要とされています。

出典:経済産業省「~三拍子で取り組む!~多様な人材の活躍を実現するために」

5. まとめ:ダイバーシティ研修は企業価値が高まる!

企業が激しいグローバル競争を生き抜くためには、多様な人材を活かし、また従業員一人ひとりが能力を最大限発揮できる機会を提供し、イノベーションを生み出し価値創造に繋げていくダイバーシティ経営が必要とされています。

それを実現するには、自社にてダイバーシティ研修を実施し、全社的かつ継続的に取り組むことが大切です。その取り組みにより、顧客や市場などからの評価が高まることが期待できます。ダイバーシティ経営を実現し企業としての価値を高めるために、ダイバーシティ研修を実施しましょう。

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