削減貢献量のガイドラインとは?削減貢献量をわかりやすく解説

削減貢献量とは、従来使⽤されていた製品やサービスを、⾃社の製品やサービスを代替することで、サプライチェーン上の「削減量」を定量化する考え⽅のことです。

この記事では、組織別にみた削減貢献量ガイドラインの概要や、削減貢献量の算定手順などをわかりやすくご紹介します。

目次

  1. 削減貢献量ガイドラインとは

  2. 組織別にみた削減貢献量ガイドラインの概要

  3. 削減貢献量の基本的な手順

  4. 削減貢献量の算定方法

  5. 企業の削減貢献量の取り組み事例

  6. まとめ:削減貢献量でサスティナブルな企業をアピールしよう

1. 削減貢献量のガイドラインとは

削減貢献量とは?

削減貢献量とは、従来使⽤されていた製品やサービスを、⾃社の製品やサービスを代替することで、サプライチェーン上の「削減量」を定量化する考え⽅のことです。 サプライチェーンとは、商品の企画・開発、原材料や部品などの調達、生産、在庫管理、配送、販売、 消費までの一連のプロセスを指し、その商品が最終的に消費者に届くまでの流れのことを言います。

⾃社の製品やサービスで利用者のCO2削減に貢献することは、「削減削減量」として企業をアピールすることができます。

出典:環境省『【参考①】削減貢献量について』p,2.(2023/03/01)

出典:経済産業省『サプライチェーンリスクと危機からの復旧』p,1.(2021/06/22)

ライフサイクルの各段階における排出量

出典:環境省『【参考①】削減貢献量について』p,4.(2023/03/01)

削減貢献量ガイドライン策定の目的

削減貢献量ガイドラインは、企業がバリューチェーンを通じた製品・サービスなどによる温室効果ガスの削減に対する貢献量を「見える化」するためのものであり、企業は、自社製品やサービスなどによる削減貢献量を定量化し、ステークホルダーに対し情報発信を行うとともに、社会全体で低炭素社会に向けた取り組みが期待されています。

出典:経済産業省『温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン』p,4.(2017/03/20)

削減貢献量の例

削減貢献量は、素材、部品、最終製品等のメーカーやITサービスを提供する企業など多くの業種で情報を開示することができます。例えば、家電メーカーでは製品の省エネ性能向上により、従来品より利用者のCO2排出量抑制に貢献できます。

建材メーカーでは、高断熱住宅にリフォームすることで冷暖房の使用量を減らし、CO2排出量削減に貢献できます。このように、さまざまな業種で削減貢献量に取り組むことが可能です。

出典:環境省『【参考①】削減貢献量について』p,3.(2023/03/01)

2. 組織別にみた削減貢献量ガイドラインの概要

削減貢献量ガイドラインは、国際的に明確な定義がないものの既存のガイドラインの定義を踏まえ「ベースラインと⽐較して、製品・ サービス等の環境性能の向上と供給の推進により、グローバル・バリューチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減・抑制への貢献分を定量化したもの」と考えられています。

グローバル・バリューチェーンとは、「国内外、社内外を問わず、原材料の調達から製品・サービスが利用者に届いた後、使⽤、消費、廃棄されるまでの⼀連の流れに関わる企業活動」であり、削減貢献量ガイドラインは組織や業種などによってそれぞれ設けられています。ここでは、組織や業種別の削減貢献量ガイドラインの概要を簡単にご紹介します。

グローバル・バリューチェーンとは

 出典:経済産業省『ガイドラインの主要論点について』p,5.(2018/02/18)

⽇本LCA学会ガイドライン

環境負荷の削減効果が期待できる製品などの原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体を考慮し、温室効果ガス排出量をベースラインと⽐較した温室効果ガスの排出削減分のうち、当該製品の貢献分を定量化したものとしています。

電機・電⼦(IEC TR 62726)

ベースラインと⽐較して、当該製品の効率向上と供給の推進により、 CO2の排出を抑制することに貢献したと考えられるCO2換算量としています。

化学(ICCAガイドライン)

他産業および消費者で使⽤される時に排出される温室効果ガスに着⽬し、化学製品を使⽤した完成品と、⽐較製品を使用した完成品とのライフサイクルでの排出量を⽐べ、その差分をその化学製品がなかった場合に増加する排出量と考え、正味の排出削減貢献量として算出としています。

経済産業省・環境省など

従来使⽤されていた製品・サービスを⾃社製品・サービスで代替するバリューチェーン上の出来事により回避される 排出量としています。

出典:経済産業省『ガイドラインの主要論点について』p,5.(2018/02/18)

3. 削減貢献量定量化の基本的な手順

削減貢献量の定量化を実施する為には、大きく分けて6つのステップを踏まえる必要があります。基本的なステップを習得することでスムーズに削減貢献量の定量化を行なうことができます。

(1)目的の設定

定量化を実施するには、定量化をする目的を始め、その目的に沿って削減貢献量の定量化を報告する相手や報告手段を明確にすることが望ましいとされています。

(2)定量化対象の設定

定量化対象の製品・サービス等は、完成された製品や最終製品を製造するために使用された商品(中間財)である場合があり、いずれの場合においても定量化対象製品・サービス等の機能や内容等を明確する必要があります。

削減貢献量は、定量化対象製品・サービス等のライフサイクル全体で効果が測られるものであり、定量化対象製品が部品や素材等の中間財である場合は、それらが使用される最終製品を示すことで削減貢献量の説得的な説明が可能となります。

(3) ベースラインシナリオの設定

 ベースラインシナリオは①市場に存在する他の製品・サービス等②法規制等で規定された基準値(例:トップランナー基準)③製品・サービス等の業界平均値で示すことができ、根拠となる考え方も説明することでシナリオに説得性が生まれます。

(4)定量化の範囲・内容の決定

対象製品・サービス等の排出量とベースライン排出量の定量化においては、原則 、それぞれに関わる製品・サービス等のライフサイクル全体が算定範囲となります。ただし、条件によってはライフサイクルの一部の段階のみを定量化の範囲とし、その場合は対象とする段階とその理由を明確にする必要があります。また、対象となる温室効果ガスのうち、一部の温室効果ガスのみを対象とする場合も、その理由を明確にする必要があります。

(5)削減貢献量の累積方法の決定

 評価期間における削減貢献量の累積方法においては、販売期間、使用期間をそろえた上で「 フローベース」、または、「ストックベース」のどちらかを選んで決定します。ひとつの目的において定量化を実施する場合は、累積方法を統一することが原則とされています。

(6)削減貢献量の定量化

「フローベース」、または、「ストックベース」の計算式によって、削減貢献量の定量化ができます。
削減貢献量定量化の基本的なステップ

出典:経済産業省『温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン』p,10.(2017/03/20)

4. 削減貢献量の算定方法

削減貢献量の定量化は、「フローベース」、または、「ストックベース」によって算定することが出来ます。それぞれ違いがあり、その違いを理解することで有効的な算定方法を決定することが出来ます。「フロー」とは、「一連の流れ」を指し、「ストック」とは、「既存しているもの」を指します。

フローベースとストックベースの考え方出典:経済産業省『温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン』 p,14.(2017/03/20)

フローベースの場合

フローベースとは、評価対象製品・サービス等のライフタイム(製品の寿命)での削減貢献量に着目し削減貢献量の定量化を実施することです。

評価期間に製造・販売された評価対象製品・サービス等が寿命まで使用されることにより発揮される温室効果ガスの削減貢献量の累積量を示す方法であり、評価対象製品・サービス等の1単位を「 削減貢献量(製品・サービス等単位) = ベースライン排出量 - 評価対象製品・サービス等の排出量 」で算定することが出来ます。また、組織単位で削減貢献量を定量化する場合は、「削減貢献量(フローベースの組織単位) = 削減貢献量(製品・サービス等単位) × 普及量(評価期間)」で算定することが出来ます。

出典:経済産業省『温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン』p,13.p,15.(2017/03/20)

ストックベースの場合

ストックベースとは、評価対象製品・サービス等の評価期間の削減貢献量に着目して削減貢献量の定量化を実施することであり、対象製品は過去に販売されたものも含め、評価期間に稼働している全ての対象製品・サービスを指します。ストックベースの算定方法は、「 削減貢献量(ストックベースの組織単位) =  ベースライン排出量 -  評価対象製品・サービス等の排出量 」で表し、評価対象・サービス等の排出量は、「各段階での排出量 × 各段階での個数」で算出します。

出典:経済産業省『温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン』p,13. p,16.(2017/03/20)

5. 企業の削減貢献量への取り組み事例

さまざまな企業では、削減貢献量の定量化を実施しています。ここでは、企業の削減貢献量の取り組み事例をご紹介します。

YKK AP株式会社

アルミ建材メーカー「YKK AP株式会社」は、住宅の「窓」に着目し、熱の出入りが 大きいアルミ窓から熱の出入りが小さい樹脂窓に交換することで、 冷暖房によるCO2排出量を10年間で32%削減に成功しました。それにより削減貢献量は、2016年の時点で2014年比で10%増を達成しています。

2030年度までにサプライチェーン全体のCO2排出量を30%削減し、また、高断熱窓使用率8割増に取り組むことで、「CO2排出量<CO2削減貢献量」を目指します。

出典:環境省『「YKKAP 取り組み事例」』p,16.(2017/09/28)

出典:環境省『「YKKAP 取り組み事例」』p,15.(2017/09/28)

大阪ガス株式会社

大阪ガス株式会社は、再エネ普及目標として2030年までに500万kW、国内電力事業の再エネ比率50%程度とする目標を設定しています。また、CO2削減に向けて石炭から天然ガスへの転換を図り、累計約90万トンのCO2排出量削減に貢献するとしています。

出典:環境省『トランジションファイナンス|事例⑩:大阪ガス株式会社』p,5.(2022/04/13)

パナソニック株式会社

パナソニック株式会社は、「人々のくらし」、「モビリティ」、「サプライチェーン」、「街」などライフサイクル全体を通じてCO2削減貢献量に取り組む「GREEN IMPACT」を発信しています。2030年までに自社工場で使用するエネルギーを再エネ100%エネルギーと再エネ自拠点導入によりCO2排出量ゼロ工場を実現し、エネルギーの使用比率を「使う≦創る」を目指します。

出典:環境省『パナソニックの環境取り組み』p,10.(2022/03/16)

6. まとめ:削減貢献量でサスティナブルな企業とアピールしよう

削減貢献量のガイドラインについてご紹介しました。削減貢献量のガイドラインは、企業がバリューチェーンを通じた製品・サービスなどによる温室効果ガスの削減に対する貢献量を「見える化」するためのものであり、カーボンニュートラル実現の為に重要な取り組みです。

削減貢献量は、「フローベース」と「ストックベース」によって算出することができ、自社の削減貢献量を開示することで、自社がカーボンニュートラルに向けて取り組んでいる企業だとアピールすることができます。ぜひ、削減貢献量のガイドラインの理解を深め、サステナブルな経営を目指しましょう。

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サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説