中小企業版RE100とは?概要や参加要件・メリットを徹底解説!

2019年10月にRE100の中小企業版である再エネ100宣言RE Actionが日本で発足しました。これによりRE100の要件を満たすことができなかった自治体や企業、団体などが使用電力を100%再生可能エネルギーで調達することを宣言できるようになりました。

RE Actionが発足後、自治体や中小企業の参加数が順調に伸び続けています。この記事では、再エネ100宣言RE Actionへの参加を検討中の法人の皆さまが知っておくべきRE100との違いやメリットなど、RE Actionに関する基本的な知識を紹介します。

目次

  1. 中小企業版RE100とは?

  2. 中小企業版再エネ100宣言RE Actionへの参加要件

  3. 中小企業版再エネ100宣言RE Actionに参加するメリット

  4. まとめ:中小企業は再エネ100宣言RE Actionに参加し脱炭素化に取り組もう!

1. 中小企業版RE100とは?

RE100の中小企業版として、再エネ100宣言RE Action(以下、RE Action)が発足しました。ここでは大企業向けであるRE100の概要や、RE100とRE Actionとの違いについて紹介します。

RE100とは

RE100はThe Climate GroupとCDPのパートナーシップのもと2014年に誕生しました。RE100に参加しているのは主に、使用電力を再生可能エネルギー100%にすることを宣言している世界で影響力のある大企業です。

RE100が発足してから参加企業は年々増加しており、2015年3月時点で15社だったのが2021年3月時点では292社まで増えています。2021年3月時点において、日本のRE100への参加企業数はアメリカに次ぐ第2位です。

また、日本国内のみでも毎月増加しており、加盟を管理しているJCLPによると2021年8月5日現在、日本の加盟企業数は59に上ります。

出典:JCLP『RE100・EP100・EV100 国際企業イニシアチブについて』

 

出典:環境省『RE100について』(p.24.25)

RE100とRE Actionの違い

RE100とRE Actionの共通点は、使用電力を100%再生可能エネルギーで調達することを宣言する企業や団体が参加していることです。一方RE100とRE Actionの大きな違いは、その参加要件にあります。RE100の対象となるのは、以下4つの要件のうち1つ以上に該当する影響力のある大企業です。(1)グローバルまたは国内で認知度・信頼度が高い。

(2)フォーチュン1000かそれに相当する主要な多国籍企業である。

(3)電力消費量が大きく100GWh以上ある。(※日本企業は特例で50GWh以上に緩和されています。)

(4)RE100の目的に寄与し、なんらかの特徴や影響力がある。

出典:環境省『RE100について』(p.38)

RE Actionの参加要件については続く第2章で詳しく紹介します。

2. 中小企業版再エネ100宣言RE Actionへの参加要件

RE100の中小企業版と呼ばれる再エネ100宣言RE Actionは、参加するためにどのような要件があるのでしょうか。RE Actionに参加する要件や、2021年現在における参加状況について紹介します。

RE Actionに参加するための要件

RE Actionの目的は、RE100の対象にならない中小企業などの間で、再生可能エネルギー100%の利用を促進することです。

RE Actionに参加できるのは、日本国内にある企業・自治体・教育機関・医療機関等の団体です。つまり、RE100の対象となる大企業や再生可能エネルギー設備事業の売上高が全体の50%以上ある事業、収入源が主に発電や発電関連である事業は参加することができません。RE Actionへの参加要件は以下のように定められています。

(1)2050年までに使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることを目標とし、自身のウェブサイトで公表する。

(2)再生可能エネルギー推進に関する政策提言に賛同するなど、政策にエンゲージメントを行う。

(3)消費電力量や再生可能エネルギーの割合等の進捗状況を毎年行う。

出典:再エネ100宣言RE Action『再エネ100宣言RE Actionについて』(2021/7/23)

再エネ100宣言RE Actionの参加状況

中小企業や自治体を中心にRE Actionへ参加する団体が増加しており、2021年7月23日時点におけるRE Actionへの参加団体数は157です。自治体が独自にRE Actionへの参加などを促進する補助金制度を始めており、今後も参加団体数は増加する見込みです。再生可能エネルギー導入の普及に積極的に取り組み、2019年12月に自治体初となるRE Actionのアンバサダーに就任している鳥取県は、RE Actionに参加している企業などを対象に、省エネルギーや再生可能エネルギー設備の導入経費を支援するなどの補助金制度を実施しています。

出典:再エネ100宣言RE Action『再エネ100宣言RE Actionについて』(2021/7/23)

出典:鳥取県『「再エネ100宣言RE Action」の推進』

出典:鳥取県『鳥取県再エネ100宣言RE Action推進・再エネ活用支援事業補助金』

3. 中小企業版再エネ100宣言RE Actionに参加するメリット

企業は2050年までに使用電力の100%を再生可能エネルギーに切り替えることを宣言し、RE Actionに参加することで様々なメリットを得ることができます。ここでは企業がRE Actionに参加するメリットについて紹介します。

企業のPR

RE Actionの参加要件の1つに「再生可能エネルギー100%に切り替えることを自身のウェブサイトで紹介すること」という要件があります。企業のウェブサイトで温室効果ガス排出量削減に取り組んでいることを公表することで、企業のイメージをアップさせることができます。

商品への添付など営業目的での使用は認められていませんが、ウェブサイトや名刺、看板、エコバッグなどでRE Actionのロゴを使用することができます。従来の財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスの観点から投資を決めるESG投資が増加していることからも、企業が環境問題に取り組んでいることを対外的に公表することは重要です。

投資にESGの視点を組み入れることなどを含めた機関投資家の投資原則であるPRI(国連責任投資原則)に署名する機関の数は、減少することはなく常に増加しています。

出典:経済産業省『ESG投資とは』

出典:再エネ100宣言RE Action『ロゴやツールの活用』

情報収集や他参加団体との交流

RE Actionに参加すると、以下に紹介するようなアンバサダーなどが主催するイベントやセミナーに参加し、そこで再生可能エネルギー導入に関する情報を収集することができます。他企業と交流することもできるため、新たなビジネスチャンスが開ける可能性もあります。

[1]脱炭素コンソーシアム

JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)が運営するウェブサイトで、RE Actionに参加している組織は、再生可能エネルギーやカーボンニュートラルに関する最新情報を得たり、意見交換などをすることができます。

[2]再エネ100宣言RE Action神奈川県交流会

神奈川県、横浜市、川崎市が中心となり、再エネ100宣言RE Action事務局主催によるRE Action参加企業の交流会が、月に1回ペースで開催されています。県内の各企業の取り組みについて学び、他企業との結びつきを強めることができます。

出典:再エネ100宣言RE Action『再エネ100宣言RE Actionについて』

出典:JCLP『CONSORTIUM 脱炭素コンソーシアム』

出典:JCLP『再エネ100宣言RE Action神奈川県交流会』(2020/7/10)

4. まとめ:中小企業は再エネ100宣言RE Actionに参加し脱炭素化に取り組もう!

RE100の中小企業版であるRE Actionについて紹介しました。どちらも使用電力を再生可能エネルギー100%に切り替えることを宣言するもので、企業のイメージを良くするなど様々なメリットを得ることができます。中小企業の皆さまも再エネ100宣言RE Actionに参加し、脱炭素化に取り組むことで企業をPRしていきましょう!

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