グローバルコンパクトとは?概要と10原則、加入するメリットを解説

環境問題や社会問題が深刻化している現代において、グローバルコンパクトが再注目されていることをご存知でしょうか。グローバルコンパクトとは、持続可能な開発目標の達成に向けて、中小企業を含める全企業が取り組むべき原則を示し、サステナビリティ活動に積極的に取り組む世界最大の団体です。

この記事では、グローバルコンパクトの概要10原則を中心に詳しく解説しています。

目次

  1. グローバルコンパクトとは?

  2. グローバルコンパクトの4分野10原則

  3. グローバルコンパクトへの参加の流れ

  4. 企業がグローバルコンパクトに参加するメリット

  5. まとめ:持続可能な発展に向けてグローバルコンパクトへの参加を検討しよう!

1. グローバルコンパクトとは?

(1)グローバルコンパクトの背景

国連グローバルコンパクト(以下UNGC)は、1999年1月に開催された世界経済フォーラムにおいて、当時の国連事務総長のコフィ・アナン氏が企業が守るべき原則として提唱した世界的な枠組みのことです。

グローバリゼーションによる恩恵を世界中の人々が享受することを目指し、各国企業が人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則を守る努力の必要性を唱えています。近年、深刻化する自然破壊や人権問題等の環境、及び社会問題の解決が急がれていることにより、グローバルコンパクトが再注目されています。

(2)グローバルコンパクトの取り組み

UNGCは、世界の企業・団体が一丸となって持続可能な開発目標の達成に向けて取り組むことを目的としています。UNGCへの取り組みを表明した企業は、適切な審査を経て正式な加盟を認められなければいけません。

また加盟後は、年に1回自社のCSR活動や進捗状況を国連に報告することが義務付けられ、報告および活動が不十分とみなされると除名処分が下されます。現在、グローバルコンパクトに加盟している企業や団体は、世界160以上の国から17,500以上の団体が参加しており、日本では2003年にグローバルネットワークジャパン(以下GCNJ)が発足し、国内の480以上の企業・団体が加盟しています。

出典:経済産業省「CSR で会社が変わる、社会が変わる」p6

出典:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「約款」

2. グローバルコンパクトの4分野10原則

グローバルコンパクトは世界人権宣言、労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」、環境と開発に関するリオ宣言および国際アクション・プラン(アジェンダ21)の国際条約に基づき、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野と10の原則を定めています。以下4分野10原則の内容を詳しくご紹介します。

出典:経済産業省「CSR で会社が変わる、社会が変わる」p6

人権

原則(1):企業は、国際的に宣⾔されている⼈権の保護を⽀持、尊重すべきである

原則(2):企業は、⾃らが⼈権侵害に加担しないよう確保すべきである

出典:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「国連グローバル・コンパクト4分野10原則の解説」p3

労働

原則(3):企業は、結社の⾃由と団体交渉の権利の実効的な承認を⽀持すべきである

原則(4):企業は、あらゆる形態の強制労働の撤廃を⽀持すべきである

原則(5):企業は、児童労働の実効的な廃⽌を⽀持すべきである

原則(6):企業は、雇⽤と職業における差別の撤廃を⽀持すべきである

出典:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「国連グローバル・コンパクト4分野10原則の解説」p14

環境

原則(7):企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを⽀持すべきである

原則(8):企業は、環境に関するより⼤きな責任を率先して引き受けるべきである

原則(9):企業は、環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである

出典:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「国連グローバル・コンパクト4分野10原則の解説」p27

腐敗防止

原則(10):企業は、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防⽌に取り組むべきであるグローバルコンパクトの加盟企業には、上記の4分野10原則を遵守し、また積極的な活動とそれらを報告する義務があります。

出典:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「国連グローバル・コンパクト4分野10原則の解説」p33

3. グローバルコンパクトへの参加の流れ

前述の通り、グローバルコンパクトへの加盟は、適切な審査を通らなければいけません。ここでは、グローバルコンパクトへの参加の流れを解説します。

(1)グローバルコンパクトからの入会説明

グローバルコンパクトへ加入するためには、毎月オンラインで開催されているUNGC・GCNJの活動内容および署名・加入手続き、申請書類等に関する説明を受ける必要があります。

(2)社内・団体内での合意形成

グローバルコンパクトへの署名および加入手続きは、必ず経営トップの承認が必要です。したがって、グローバルコンパクトからの入会説明後は、自社内にて加入を検討し、経営トップによるグローバルコンパクト署名の合意を得る必要があります。

(3)入会申請書類の提出

経営トップによるグローバルコンパクトへの署名承認を得た後は、GCNJに連絡し、加入する旨を伝えると同時に署名および加入に必要な申請書類を準備します。申請書類はGCNJの公式ホームページ上から取得できます。

(4)GCNJ(グローバルコンパクト・ネットワークジャパン)経営執行委員会での審査

グローバルコンパクトへ加入申請するためには、毎月1回開催されるGCNJの経営執行委員会にて、企業の署名および加入に関する審査に通らなければいけません。グローバルコンパクトに加入を希望する企業は、経営執行委員会の開催3営業日前までにGCNJ事務局へ申請書類を提出する必要があります。

(5)審査結果を企業へ通知

GCNJ経営執行委員会にて行われた審査結果は、委員会翌日に企業へ連絡が入ります。

(6)承認企業はUNGCへ署名申請 ※WEB申請

GCNJ経営執行委員会の審査にて加入が承認された企業は、UNGCへの署名申請が認められます。審査で加入が承認された企業は、直接UNGCのウェブサイトから署名申請を行う必要があります。

(7)UNGC本部での審査

UNGCのウェブサイトから申請手続きを行うと、本部で審査承認手続きが開始されます。承認手続きが完了するまでの期間は、署名申請から通常7〜14営業日とされています。

(8)企業へUNGCより署名承認の通知が届く

UNGCで署名承認手続きが完了すると、企業へその旨の通知が届くと同時に、GCNJ事務局にて入会登録手続きが行われます。その後、UNGC公式ウェブサイトの署名・団体リストに企業および団体名が公開されます。

出典:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「署名・加入までの流れ」

4. 企業がグローバルコンパクトに参加するメリット

ここまでUNGCへの参加の流れを解説しました。グローバルコンパクトは、国際的な条約に基づいて活動する団体であることから、厳格な審査の上で加入が認められます。では、企業がグローバルコンパクトに参加することのメリットはどのようなものなのでしょうか。

(1)GCNJが開催する各種セミナー・シンポジウムや勉強会に無料で参加が可能

グローバルコンパクトへ参加することにより、企業はGCNJが開催するグローバルコンパクトの基礎知識や最新情報を得ることができます。また、人権・労働・環境問題に関する各種セミナーシンポジウム、また勉強会に無料で参加することが可能です。それにより、自社のサステナビリティ活動方針が明確になると言えます。

(2)GCNJ主催の分科会活動への参加

GCNJには、ESGやSDGs、サプライチェーン等に関する全14テーマの分科会があります。グローバルコンパクトへ加入すると、これら分科会へ参加が可能となり、企業・団体間で様々な知識や経験、他社事例や最新動向を共有することができます。これにより、自社のサステナビリティ課題の解決に繋がります。

(3)社会的評価の向上

グローバルコンパクトへ加入すると、GCNJが提供する2種類のロゴマークを使用することができます。グローバルコンパクトは、世界最大のサステナビリティイニシアチブである為、参加することにより企業の社会的価値は向上し、持続可能な経営成長が見込まれると言えます。

出典:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「署名・加入のメリット」

5. まとめ:持続可能な発展に向けてグローバルコンパクトへの参加を検討しよう!

グローバルコンパクトが設立された背景や目的、活動原則について解説しました。持続可能な社会に向けた活動が求められている現在、グローバルコンパクトの重要性は高まっています。今後、中小企業においてもサステナビリティ活動が強く求められると予想されます。サステナビリティ活動の第一歩として、是非グローバルコンパクトへの加入を検討してみてはいかがでしょうか。

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