【法人向け】SDGsに向けた企業の具体的な取り組み事例とポイントを紹介

SDGsは、2015年の国連総会で採択された17のゴール・169のターゲットから構成された2030年までの国際目標で、2030年まで全世界が一丸となって実施することが期待されている取り組みです。

今回は、日本企業の具体的な取り組み事例と、実施するときに気を付けるポイントなどをまとめてお伝えします。

目次

  1. SDGsに企業が取り組む具体的なメリット

  2. 日本企業のSDGsへの具体的な取り組み

  3. 企業のSDGsへの取り組み方を学ぶ

  4. まとめ

1. SDGsに企業が取り組む具体的なメリット

出典:外務省『2018年版開発協力白書 日本の国際協力』

SDGsは、全世界共通の課題に対して17のゴールと169のターゲットを設定して解決に向けたアクションを促すための目標です。

今や企業戦略の中心に据えられることも多いSDGsですが、どんなメリットがあるのでしょうか。

SDGsへ取り組む企業のメリット

SDGsに企業が取り組むメリットは、全世界的な問題に対してアプローチすることで企業としての信頼を獲得できる点ですが、他にも多くのメリットがあります。

  • 認知度が上がる

SDGs自体は、地球規模の目標なので世界的にも注目を集めています。だからこそ、企業として取り組めば自分たちのサービスや商品を知ってもらうきっかけにもなります。

電通の調査によると、日本のSDGsの認知率は全年代で54.2%。特に学生76.1%、公務員70.2%、会社員(事務系)64.3%が高い傾向にあることがわかっています。

出典:電通『第4回「SDGsに関する生活者調査」』(2021年4月26日)

  • ユーザーの購入動機になる

今は顧客が商品を選ぶ上で「エコなものか」、「不公平な取引で生産者が損をしていないか」などSDGsにもつながる考え方を軸にする場合も増えており、顧客に選ばれることで売上向上にも期待できます。

このような考え方はエシカル消費と呼ばれており、消費者庁によると「エシカル消費につながる商品・サービス購入の意向がある人」は81.2%に上るという調査が出ています。

出典:消費者庁『エシカル消費(倫理的消費)に関する消費者意識調査報告書の概要について』(2020年8月)

  • 社内文化の醸成につながる

SDGsへ企業としての取り組むことで、「会社として何を大切にしているか」という社内の価値観の統一や採用活動への好影響も期待できます。

日経リサーチによると、SDGsに貢献意欲の高い社員は増加しています。17目標のいずれかに貢献したい・している社員が全体の7割に上り、このうち、48.1%が自社を働きがいがある会社だとしているとのことです。

出典:日経リサーチ『第2回 日経「SDGs経営」調査 ~ 調査結果解説 ~』(2021年3月18日

つまり、SDGsに取り組んでいる企業であることそのものが企業価値・ブランドイメージ向上や売上アップなどさまざまなメリットに繋がります。

企業とSDGs17ゴールとの関係性

SDGsには17のゴールがあり、それぞれ改善すべき世界共通の課題が挙げられています。企業が所属している業界ごとにアプローチしやすい課題もあり、スムーズな取り組みに繋がっています。

例えば、食品会社であればゴール2の「飢餓をゼロに」やゴール14の「海の豊かさを守ろう」といった課題への親和性が高いので取り組みやすいテーマと言えます。

例えば大手食品会社の味の素株式会社では、ゴール2「飢餓をゼロに」に向けてアフリカのガーナでの乳幼児死亡率の高さに対して、離乳食栄養食品を提供する取り組みを実施しています。

また、高知大学ではゴール14「海の豊かさを守ろう」に対して絶滅危惧種であるウミガメの保護といった取り組みを行っています。

出典:味の素株式会社『味の素(株)が設立した一般財団法人味の素ファンデーション、公益認定を取得』(2017年4月3日)

出典:高知大学『絶滅危機に瀕するウミガメ類の保護と普及の取組』

SDGsと社会情勢

SDGsは、今や社会のトレンドとなっています。しかし、単にSDGsが流行しているからといって、考えなしに飛びつくと顧客の期待に応えられず結果的にブランド毀損などを引き起こす可能性もあります。しっかり自分たちのスタンスを統一して施策を進めましょう。

2. 日本企業のSDGsへの具体的な取り組み

SDGsの概要は理解できても、具体的にどのようなアクションを行えば良いかは判断が難しいこともあります。国内企業の事例をチェックしてイメージしましょう。

ヤマハ株式会社

音楽産業を中心にビジネスを展開するヤマハ株式会社は、SDGsのゴール4「質の高い教育をみんなに」に向けた音楽教育として7カ国で3,000校の100万人に器楽学習の機会を生み出したり、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」に向けてイヤホンやヘッドホンの70%以上に耳の健康に留意した機能を搭載するといった取り組みを実践しています。

出典:ヤマハ株式会社『サステナビリティマネジメント』

パナソニック株式会社

大手総合電機メーカーのパナソニック株式会社は、そのスケールメリットを活かして各事業会社や関連部門ごとに様々な取り組みを実践しています。

例えば、製造部門だとパナソニックエコテクノロジーセンター株式会社とパナソニックエナジーベルギーの2拠点では、再生可能エネルギーや省エネ施策などを活用した「CO2ゼロ工場」を実現しています。

また、SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」に有効な方法として注目されている「サステナブルシーフード」を社員食堂で導入しています。

サステナブルシーフードは、持続可能な方法で水産資源や環境に収穫された水産物を指し、認証されたものは天然の水産物にはMSCラベル、養殖の水産物にはASCラベルが表示されています。

サステナブルシーフードの導入によって、毎日の食事で自然にSDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」へつながる活動を行っています。

出典:パナソニック株式会社『CO2ゼロ工場 グローバルに拡大中』

出典:パナソニック株式会社『SDGsの取り組みを社員食堂から~サステナブル・シーフード~』

株式会社かんぽ生命保険

株式会社かんぽ生命保険は、メイン事業である保険活動を通じて、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」やゴール4「質の高い教育をみんなに」への取り組みを進めています。

ラジオ体操の普及や、健康応援アプリ「すこやかんぽ」で歩数を計測しキャンペーンに応募できたりと日常生活に寄り添う形で健康を応援しています。

また、多様性を認めるダイバーシティ経営の推進、働き方改革を通じてゴール10「人や国の不平等をなくそう」、ゴール8「働きがいも経済成長も」へもアプローチしています。

出典:株式会社かんぽ生命保険『SDGs達成に向けた取り組み』

3. 企業のSDGsへの取り組み方を学ぶ

SDGsに企業が取り組む時の具体的な流れを整理して、自分たちのビジネスに落とし込みましょう。

(1)どのゴールに向かうかを決める

SDGsは17のゴール、169のターゲットから成り立つ目標です。ゴールやターゲットがこれだけ多いと、どのゴールに向けた取り組みなのかを事前に考えておかないと中途半端な施策になってしまいます。

また、ゴール達成のためには様々なアプローチがあるので、どの施策を実施するのかを予め設計することが重要です。自分たちのビジネスで取り組めるゴールはどこなのか、業界として取り組むべき課題は何がなのかを意識してゴールを設定しましょう。

(2)具体的なアクションを決める

自分たちのビジネスにおけるSDGsのゴールを設定したあとは、具体的なアクションを設定していきましょう。目的とするゴールに対して、企業としてどんな取り組みを行うのか、どのような活動に協賛するのかなどを明確にしていきます。

注意すべきなのは、ころころと方針を変えないこと。SDGsへの取り組みは、会社のブランディングにも関わる部分なので、腰を据えて取り組みましょう。

(3)取り組み事例を発信

SDGsへの取り組みについては、社内、社外どちらに対してもしっかりと発信していきましょう。

社内向けにはイントラネットや社内報などを活用し「自社がSDGsに対して何を実施しているのか」、「どんな取り組みが自分たちにとってのSDGsの達成ポイントなのか」など意識を統一していくことで価値観の統一や、一体感の醸成に繋がります。

社外的にも各ステークホルダーにも明示していくことによって、企業としての信頼を獲得して価値を高めることに繋がります。また、SDGsとともに考えられることが多いESGとも意識しておきましょう。

ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの頭文字を取った言葉です。今や、機関投資家が投資の判断基準にも採用するほど今後の企業の成長には欠かせない要素として重要視されています。

ESGとSDGsでは密接にリンクしている部分も多く、環境への配慮はSDGsのゴール13「気候変動に具体的な対策を」、社会とのつながりはゴール11「住み続けられるまちづくりを」と関係しています。つまり、SDGs、ESGへの取り組みを発信することで自ずと企業価値の向上に繋がります。

4. まとめ

SDGsとは、2015年の国連総会で採択された17のゴールと169のターゲットから構成される2030年までの国際目標です。全世界共通の目標となるSDGsへの取り組みは国際的にも自分たちの会社やサービスの存在のアピールにも繋がります。

自分たちのビジネスにおいてSDGsへの取り組みを行う際には、まずは業界としての課題や、サービス・商品の特徴などをどのように活かしてどのゴールを目指していくのかを定めましょう。

 

その後、具体的にどんなアクションを取って行くかを決めて取り組んでいきます。もちろん、どんな取り組みを行っているのかは社内外問わず発信していき、しっかりとアピールに繋げましょう。

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