SDGs目標13に関わる気候変動問題とは?企業ができることを徹底解説!

気候変動問題に対して企業ができることは?世界に平均気温の上昇や大雨など深刻な影響を与えている気候変動は、企業に経済的な損失も与えます。企業は、温室効果ガス排出量を削減する取り組みの他に、気候変動の影響によるリスクマネジメントをしておくことも重要です。この記事では、法人の皆さまが知っておくべき気候変動問題に関するSDGs目標13の概要や、気候変動に対する2つの取り組み事例をご紹介します。

目標

  1. SDGs目標13に関わる気候変動問題とは?

  2. 気候変動問題に対してできること[1]緩和策について

  3. 気候変動問題に対してできること[2]適応策について

  4. まとめ:企業ができることを知り、気候変動問題に向けた取り組みを始めよう!

1. SDGs目標13に関わる気候変動問題とは?

2030年度までに達成することを目指し、世界が共通に掲げる目標にSDGsがあります。ここでは気候変動問題に関するSDGs目標13の概要や、気候変動問題解決に向け世界各国が掲げる目標、SDGs目標13を達成するために日本が抱える課題についてご紹介します。

SDGs目標13の概要

2015年度までに達成すべき世界共通の目標であったMDGsが期限に達したことで、2030年度までに達成すべき新たな世界共通の目標として2015年に国連サミットにて全会一致で採択されたのがSDGsです。

SDGsの前身となる2015年までの目標「MDGs」は主に発展途上国が抱える課題克服をターゲットにしており、気候変動問題に関する目標はありませんでした。

しかし、気候変動による世界への影響が深刻化したことで、SDGsには目標13「気候変動に具体的な対策を」として気候変動問題が盛り込まれています。SDGs目標13は、「気候変動に具体的な対策を」のテーマのもと5つのターゲットが設定されています。

(1)全ての国において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性及び適応の能力を強化すること。

(2)気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込むこと。

(3)気候変動の緩和、適応、影響軽減、および早期警告に関する教育、啓発、人的能力および制度機能を改善すること。

(4)開発途上国のニーズに対応するために、可能な限り速やかに資本を投下しグリーン気候基金を本格始動させること。

(5)女性や若者、社会的弱者などコミュニティの重点化などを通し、後発開発途上国における気候変動関連の効果的な計画策定や管理の能力を向上するためのメカニズムを推進すること。

出典:外務省『ミレニアム開発目標(MDGs)』(2019/7/25)
出典:外務省『13:気候変動に具体的な対策を』

世界各国が掲げる目標

SDGs目標13は、温室効果ガスによる温暖化が引き起こす気候変動やその影響を軽減することを目標としています。SDGsは発展途上国だけでなく先進国も取り組むべき目標として位置づけられており、日本を含む世界各国が、2030年度までの温室効果ガス排出量削減目標を打ち出し、様々な取り組みを行っています。

出典:外務省『SDGsとは?』

SDGs目標13を達成するために日本が解決すべき課題

環境省の発表によると、日本は2014年以降、6年連続でCO2排出量が減少しています。しかし2050年までに脱炭素社会を実現させ気候変動問題を食い止めるには解決しなければならない課題があります。

(1)CO2排出量削減が難しい分野の存在

日本におけるCO2排出量は、全体的には減少していますが、増加している部門もあります。工業プロセス及び製品の使用は2013年度3.7%でしたが2019年度には4.1%に増加、焼却等廃棄物は2013年度の2.2%から2019年度には2.6%に増加しています。共に非エネルギー起源CO2で、セメント製造工程における石灰岩の燃成、工業材料の化学変化、廃棄物燃焼場における化石燃料由来のプラスチック、廃油の焼却などにより排出されます。

出典:環境省『温室効果ガスの総排出量2019年度』(p.19.26)

(2)再生可能エネルギー導入のさらなる推進

日本は2050年度の脱炭素社会実現を目指し、2030年度までに再生可能エネルギー割合を22〜24%にすることを目標にしています。2019年度における再生可能エネルギー割合は18%ですのでさらなる推進が求められます。再生可能エネルギー割合を増やすためには、再生可能エネルギーの発電コストを下げ、化石燃料依存から脱却する必要があります。

出典:資源エネルギー庁『資源エネルギー庁がお答えします!~再エネについてよくある3つの質問』(2018/3/16)

2. 気候変動問題に対してできること[1]緩和策について

気候変動問題への取り組みは大きく2種類あり、1つは温室効果ガスそのものを削減する緩和策、もう1つは温暖化による悪影響に備える適応策です。緩和策を最優先しながら、バランス良く取り組んでいくことが重要です。ここでは、緩和策の具体的な取り組み事例についてご紹介します。

(1)省エネルギーの推進

環境省は、家庭や企業ができる緩和策として建築物の省エネ化や省エネ家電や高効率給湯器の導入、徹底的なエネルギー管理の実施が効果的であると紹介しています。企業はLEDライトや電気自動車の導入などによりCO2排出量を削減することができます。

出典:環境省『気候変動の緩和策』

(2)再生可能エネルギーの拡大

日本は、2030年度のエネルギーミックスにおいて再生可能エネルギー割合を22〜24まで拡大する方針を示していました。

菅新政権の誕生により、この割合がさらに引き上げられる可能性が示唆されています。日本における2019年度の再生可能エネルギー割合は18.0%ですので、2050年度までに脱炭素社会を実現させるためには、企業や自治体が中心となり再生可能エネルギーの拡大に向け取り組む必要があります。

出典:資源エネルギー庁『総論』

出典:資源エネルギー庁『今後の再生可能エネルギー政策について』(2021/3/1)(p.19)

(3)新たなエネルギーの開発

日本が2050年までに脱炭素社会を実現するために必要なこととして、資源エネルギー庁は産業、民生、運輸部門における水素やメタネーションなどによる脱炭素化をあげています。

メタネーションは、水素とCO2を合成反応することによりできるメタンで、都市ガスの主成分として使用されています。CO2を資源として活用することで、温室効果ガス排出量を削減することができます。

メタネーションのようにCO2を資源として活用する技術はカーボンリサイクルと呼ばれており、CO2を削減する夢の技術として開発が進んでいます。

出典:資源エネルギー庁『今後の再生可能エネルギー政策について』(2021/3/1)(p.11)
出典:一般社団法人日本ガス協会『2050年カーボンニュートラルに向けた都市ガス業界の取組』(2021/3/23)
出典:資源エネルギー庁『CO2削減の夢の技術!進む「カーボンリサイクル」の開発・実装』(2021/4/30)

3. 気候変動問題に対してできること[2]適応策について

気候変動問題に対するもう1つの取り組みは適応策と呼ばれるもので、気候変動によりすでに起きている、または今後起きることが予測されている影響に備える取り組みです。ここでは、気候変動問題にできることとして、適応策の取り組み事例をご紹介します。

(1)気候変動適応法の制定

気候変動の影響による被害を抑制する目的で、分野ごとに計画が策定され、2018年12月1日に気候変動適応法が施行されました。気候変動適応法では、国や自治体だけでなく企業の取り組みも求められています。

出典:環境省『気候変動影響への適応』(p.45.46)

(2)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への参加

企業は、気候変動の影響によるリスクマネジメントを行う必要があります。TCFDでは「ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標」の4項目の開示が求められます。気候変動に関して企業のあり方を考えることは企業にとって大変意味があることです。気候変動に関する企業の対応を開示することは、投資家へのアピールにもつながります。

出典:経済産業省『気候変動に関連した情報開示の動向』
出典:環境省『【参考資料】気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の概要(p.1)』

4. まとめ:企業ができることを知り、気候変動問題に向けた取り組みを始めよう!

気候変動に関するSDGs目標13や、気候変動への取り組み方法である緩和策と適応策についてご紹介しました。温室効果ガス排出に大きく関係している企業は、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進によりCO2排出量を削減していくことが重要です。また、TCFDへの取り組みなどによりリスクマネジメントも行っていきましょう!

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