【中小企業必見!】ESG経営に取り組むメリットとは?

マーケティングや経営の分野で「ESG」という言葉が聞かれるようになっています。大企業の間ではメジャーとなっていますが、これからは中小企業であっても経営において外すことのできない考え方となります。ここでは、「ESG」についてそのメリットを中心に詳しく解説していきます。今後の企業経営の参考にしてみてください。

目次

  1. ESG経営とは企業経営のサステナビリティを重要視した考え方

  2. 中小企業がESG経営に取り組むメリット

  3. 中小企業のESG経営への取り組み事例

  4. 【まとめ】中小企業こそESG経営を意識すべき!

1. ESG経営とは企業経営のサステナビリティを重要視した考え方

ESG経営とは何か

ESGとは、

  • Environment(環境)

  • Social(社会)

  • Gavernance(企業統治)

の3つの頭文字からきています。ESG経営とはこの3つの要素に基づいて行う経営方針のことです。具体的な内容として、

  • E(環境)

地球温暖化対策となるCO2の排出削減への取り組みや再生可能エネルギーの利用、産業廃棄物の処理・浄化・削減など

  • S(社会)

女性の活躍推進・児童労働などの人権問題、ハラスメント防止への取り組み、地域社会への貢献活動など

  • G(企業統治)

役員報酬・株主の権利と平等性の確保、適切な情報開示、社外取締役の設置・独立性など

となっています。今までは企業価値として財務状況(キャッシュフローや利益率)が重要視されてきましたが、今後の企業の持続性や成長性を考えたときに、数字からは判断できない部分の指標としてこのESGが重要という考え方が生まれてきたのです。

ESG経営とは、これらの観点に基づき、企業経営のサステナビリティを重要視した考え方となるのです。

出典:経済産業省『ESG投資』

SDGsとの違いは

ここまでの説明で、「SDGsと似たような印象」を持った方もいると思います。同じように社会や環境の持続性を重要視した概要となり、同じタイミングで注目され始めたこともあり、混同しがちです。ではESGとSDGsの違いとはどのようなことなのでしょう。

SDGsは、2015年の国連総会で採択された、2030年に向けた国際的な開発目標です。開発途上国と先進国の双方にコミットメントが求められており、政府だけでなく、民間企業にも主体的に行動することを要請するものですが、拘束力はありません。しかし、多くの企業は経営戦略にSDGsへの取り組みを取り入れ始めています。これは近年の地球温暖化や人権問題への社会の関心の高さからきているものでしょう。

このなかでSDGsには、「飢餓の撲滅」、「低所得層の所得向上」など企業の活動にそぐわないものも含まれています。反対にESGの「企業統治」に関わる部分も、SDGsが提唱する国際的な開発目標とは関係が薄いものとなっています。

出典:外務省『SDGsとは?』

ESGは、2006年に投資にESGの視点を組み入れることを掲げる「PRI(国連責任投資原則)」が提唱され、2018年5月時点で世界の1965の機関(資産運用規模約70兆ドル)が署名しており、日本でも「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」が2015年に署名したことを受け、ESG投資という考え方が広がっています。

出典:経済産業省『PRI(国連責任投資原則)』

どちらも国際的に提唱された社会や、環境の持続性を理念とした考え方で、注目するテーマも重複する部分は多くあります。それぞれの概念を理解したうえで、活用していくことがこれからの企業には求められるのです。

2. 中小企業がESG経営に取り組むメリット

ここまででESG経営についての内容はみえてきたと思いますが、実際、環境問題への取り組みや、ハラスメントなどの人権問題、情報の可視化などを実践するにはそれなりのコストがかかります。それでも企業のESG経営にはそれ以上のメリットがあるのです。ここからはESG経営へのメリットを紹介していきます。

ESG経営の3つのメリット

  • 投資家へのアピール(ESG投資)

ESGに取り組むことにより、投資機関や銀行からの資金調達に有利に働くことになります。これは、投融資にESGの要素を判断材料とする動きが広がっているからです。世界最大の年金基金である「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」では2017年にESG投資を1兆円規模でスタートし、2019年には5.7兆円まで拡大しています。また、銀行でも融資の際に「ESGスコア」という判断基準を作成し、ESGに取り組む企業への優遇を行っているところもあります。

出典:GPIF『2019年度ESG活動報告』(p5)

また、投資家は、「ESGの指標が高ければ企業価値も高まり、投資対象としての価値があがる」といった考えや、「ESGへの取り組みに誠実性があれば、企業価値の下がる可能性が低い」という判断をするようになってきています。ESGへの取り組みは資金調達への対策ともなるわけです。

  • リスク管理の強化

「環境」、「社会」、「企業統治」という分野は企業にとって大きなリスクとなりえる部分でもあります。ESGを意識した取り組みによってリスク管理を強化することができ、かつ対外的にみても投資家の注目を受けることができるので企業価値の上昇につなげることができます。

  • ブランド力の強化

ESG経営を実践することにより、企業の健全化が図られ、結果的に企業のブランド力の強化につながります。これは競合との差別化、投資家へのアピールになり、企業の価値を高めることができるでしょう。

以上のようにESG経営は企業価値の向上に寄与し、資金調達などの面で有利となります。しかし事業の見直し、システム導入のコストもかかりますのでこのバランスをとる必要があり、慎重なプランニングが重要となります。

3. 中小企業のESG経営への取り組み事例

ここからは実際にESG経営に取り組んでいる企業を紹介していきます。様々な業種の企業が取り組んでいますので参考にしてみてください。

赤ちゃんが食べられるタオルを<ikeuchi organic株式会社>

愛媛県・今治市のオーガニックテキスタイル(タオル・マフラー等)の企画、製造、販売をおこなう企業です。創業120年となる2073年までに、「赤ちゃんが食べられるタオルを創る」という安全基準を企業の行動指針としています。

また、「創る製品は食品である」という考えで安全性を第1とし、本社工場は食品工場の安全基準の「ISO-22000」を取得しています。そのうえ工場やオフィスの電力はすべて風力発電で賄われています。

出典:ikeuchi organic株式会社

20年にわたり磨き上げたバイオマス利活用技術<明和工業株式会社>

石川県・金沢市のバイオマス利活用事業の企業です。持続可能な循環型社会を実現するための技術・開発に取り組んでいます。バイオマス炭化装置の開発や、排水の処理装置など環境問題の改善に利用される装置の販売を手がけ、農業施設への供給を中心に活動しています。

出典:明和工業株式会社

SDGsすべてに貢献するバナナペーパーを生産・販売<株式会社ワンプラネット・カフェ>

パルプ・紙加工製造業の企業で、人と地球の持続可能性の追求を企業理念に、バナナの繊維から紙をつくるバナナペーパーの生産・販売を行っているほか、原材料国のザンビアを中心としたアフリカと日本のパートナーシップづくりへの活動もおこなっています。

廃棄されるバナナの茎の繊維を木材の代替品として使用することで、資源の有効活用、ものづくりを通じた生態系保全に寄与しています。また、企業向けにSDGsをテーマとした講演、ワークショップ、コンサルティングもおこなっており、SDGsの普及促進にも取り組んでいます。

出典:株式会社ワンプラネット・カフェ

印刷業界初の「ゼロカーボンプリント」の推進<株式会社大川印刷>

明治14年創業の横浜の老舗印刷メーカーです。FSC森林認証紙や、ノンVOCインキ(石油系溶剤0%)の使用、針金を使わない製本など、環境負荷低減に特化した環境印刷に取り組んでいます。

また、SDGsを忘れないメモ帳、セパレートエコカレンダー(白内障・色弱者の方にも読みやすい卓上カレンダー)などの商品開発もおこなっており、SDGsへの取り組みにも積極的な企業です。

出典:株式会社大川印刷

4.【まとめ】中小企業こそESG経営を意識すべき!

  • ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Gavernance(企業統治)の略で、ESG経営とはこの3つの要素に基づいて行う経営方針のこと。CO2排出削減や再生可能エネルギーの利用、人権問題・ハラスメント問題への取り組み、適切な情報開示などを企業価値としての判断基準とする考え方です。

  • SDGsと同じく、国際的に提唱された社会や環境の持続性を理念とした考え方ですが、互いにそぐわない部分もあり、それぞれの概念を理解したうえで活用していくことが重要となっている。

  • ESG経営のメリットとしては、投資家へのアピール(ESG投資)、リスク管理の強化、ブランド力の強化などがあげられ、資金調達の面で有利となるが、事業の見直しやシステム導入のコストもかかるため、慎重なプランニングが重要となる。

現在は、ESG経営に取り組む中小企業も増えており、企業の持続的な成長には欠かせない要素となっています。自社で取り組めること、取り組むべき問題について考えてみてはいかがでしょうか。

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