日本企業も続々参加!企業価値を高めるRE100を徹底解説

脱炭素社会の実現に向けた動きが加速し、企業の環境に配慮した活動が特に注目を集めている中、世界的な取り組みの1つにRE100というものがあります。

RE100は事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを推進していく企業連合で、日本の企業も株式会社リコーが2017年に参加して以来、城南信用金庫、パナソニック株式会社、住友林業株式会社などの大企業も続々と参加を表明しているのです。

この記事では、日本企業がRE100に参加するメリットから申し込み方法まで徹底解説していきます。

目次

  1. 日本の企業も参加し始めているRE100とは

  2. RE100に参加している日本企業の取り組み事例

  3. 日本企業がRE100に参加するメリット、デメリット

  4. 日本企業がRE100に参加するためには

  5. まとめ:RE100参加対象か確認し、JCLPに問い合わせよう

1. 日本の企業も参加し始めているRE100とは

RE100(100% renewable electricity)とは世界的に影響力のある企業が、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標として集まった企業連合のことです。

この章では、RE100設立の背景から目的、運営元まで詳しく解説していきます。

世界は脱炭素社会に向けて動いている

1800年代の産業革命以降、人類は進歩と発展のために膨大なCO2を排出しエネルギーを作り続けてきました。200年前のCO2排出量と対比すると、200億%も増加しているのです。

 

出典:環境省『地球温暖化とは』

CO2は温室効果ガスの1つで地球の表面温度を保つ性質がありますが、これが増え続けると平均気温は上昇します。気温の上昇は気候変動を引き起こし、海面上昇や豪雨、生態系の破壊に繋がっていくのです。

地球規模の危機を乗り越えるため、世界各国でCO2の排出をゼロにしていくカーボンニュートラルの宣言がなされ、日本でも2020年10月に菅総理大臣が2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言しました。

出典:首相官邸『菅総理所信表明演説』(2020年10月26日)

RE100の運営元

RE100を知るために、まず国際環境NGOであるThe Climate Groupを知る必要があります。この団体は英国に本社を構え、2003年に気候変動対策を推進することを目的として設立されました。2050年までにCO2排出量ゼロを目標に活動しています。

出典:The Climate Groupウェブサイト

The Climate Groupが同じく英国のCDPと提携して2014年に立ち上げられたのがRE100です。CDPも非政府組織の1つで、国や企業などの気候変動に関係する情報を集計して市場に提供しています。

出典:CDPジャパンウェブサイト

RE100の目的とは

RE100の目的は世界各国の企業に対して、再生可能エネルギーの利用を促してCO2の排出量を減らし、気候変動対策を推進することです。

日本だけで見てものCO2排出量の約80%は企業のエネルギー消費によるものですので、The Climate Groupの目標である世界全体のカーボンニュートラル達成ための取り組みとしては、非常にクリティカルな対象であることが分かります。

出典:環境省『2019年度温室効果ガス排出量確報値』(2021年4月発表)

日本では2017年にリコーが参加を表明して以来、2021年6月までに56社が参加しています。また、2018年には環境省が公的機関としては世界で初めてRE100へ参画し、アンバサダーとしてこの取組みの普及を行っています。

2. RE100に参加している日本企業の取り組み事例

脱炭素社会に向けた企業の取り組みが注目されている

世界で脱炭素社会に向けた取り組みが加速する中、特に企業の動向が注目されています。

資本主義における企業の活動は、社会貢献によって対価を受け取り、事業を成長させていくことでより広く大きな社会貢献を持続的に行う状態が本来のあるべき姿です。しかし、人間の欲望と利益を重視した活動によって地球全体に影響が出ている昨今、もはや企業は人間のためだけに活動して利益を上げていては評価されなくなってきました。

持続可能な社会で活動していくために、企業自ら気候変動対策をしているかを評価項目に加えて投資対象であるか判断する機関投資家が増えてきたのです。ここでは、RE100に加盟している日本企業の主な取り組みを紹介したいと思います。

城南信用金庫の事例

  • 電力小売り事業者との契約

  • 非化石証書付電力の購入

  • 太陽光パネル、自家用発電設備の設置など

東京都23区の城南エリアを中心に事業を展開している城南信用金庫は本支店全ての電力を再生可能エネルギーに切り替えるなどして、2018年12月に参加する国内企業では初となるRE100を達成しました。

出典:城南信用金庫『ニュースリリース』(2018年12月21日)

パナソニック株式会社の事例

  • 自社拠点への再エネ発電設備の設置による再エネ導入

  • 再エネの外部調達強化

  • 地域特性に応じた再エネの活用拡大の検討

大手家電メーカーであるパナソニックは製品の生産活動において、CO2排出ゼロの工場づくりを推進しています。また、今まで培ってきた技術を活かして、自社製品で「創るエネルギー」が「使うエネルギー」を超える挑戦をしているのです。例えば太陽光パネルや蓄電池の開発を行う一方で、家電などの製品で省エネの向上に取り組んでいます。

出典:パナソニック株式会社ウェブサイト

 

3. 日本企業がRE100に参加するメリット、デメリット

ここでは日本企業がRE100に参加するメリット、デメリットを紹介していきます。

RE100に参加するメリット

企業がRE100に参加するメリットは主に3つあります。

(1)安価で安定した再エネ供給を受けられる

企業がRE100に参加し、カーボンニュートラルの宣言や取り組みをまい進していくことで再エネの市場が拡大していきます。そのニーズをキャッチした市場は投資や価格競争が活発となり、結果として安価で安定した再エネ供給が受けられることになります。世界では再エネ需要が拡大し、10年間で50%以上コストが低下しているのです。

出典:環境省『RE100について』

(2)CDPの加点対象となり、ESG投資の呼び込みに役立つ

RE100の運営元であるCDPは投資家や市場に各企業の気候変動に関する情報を集計、提供しています。CDPで気候変動対策に対する投資総額は96兆ドルに上り、機関投資家の関心の高さも伺えます。

出典:環境省『RE100について』

(3)RE100に参加する世界中の企業と情報交換ができ、協業や新規事業立ち上げに繋がる

RE100に参加すると、再エネを促進するためのピアラーニング(協働しながら学ぶ手法)の機会が増えます。他業種との意見交換、情報交換が行われる中で、気候変動に対する取り組みを協業で行う企業が生まれます。

世界的な大企業と協業することが可能となれば、気候変動対策はもちろんのこと、企業のイメージやブランド力が上がり新たな投資を呼び込むことに繋がります。

出典:環境省『RE100について』

RE100に参加するデメリット

RE100に参加することは、多くのメリットを享受する一方で求められること(デメリット)も増えてしまいます。

(1)2050年までに100%再生可能エネルギーで事業を行うと宣言する

RE100に参加するということは、気候変動対策として再生可能エネルギーを利用しながら事業を営む宣言をすることになります。当然目標も定められていて、2050年までに100%再生可能エネルギーに変換することが求められます。

出典:日本気候リーダーズ・パートナーシップウェブサイト

(2)目標達成のための報告が義務付けられる

RE100参加企業は毎年、The Climate Groupに対して目標達成に向けた進捗状況を報告することとなります。報告をするためには日々事業で消費する電力量や再エネ利用量などを把握し、記録していかなければいけません。

出典:日本気候リーダーズ・パートナーシップウェブサイト

(3)グループ全体での参加が求められるRE100に参加するには、一番上の親会社から見たグループ全体で参加しなければいけません。子会社に対しても同様の目標設定や実績把握をする必要があります。RE100に参加するデメリットも少なからずありますが、長期的な視点で見ると日本は2050年までにカーボンニュートラル達成を公言しているためいずれは各企業に対しても努力義務が課せられます。

出典:日本気候リーダーズ・パートナーシップウェブサイト

RE100への参加はこれらデメリットもありますが、長期的な視点では気候変動対策による企業イメージや認知度の向上、投資家へのアピールなどメリットも多いため、検討の価値があるでしょう。

4. 日本の企業がRE100に参加するためには

RE100には参加するための条件がある

日本企業がRE100に参加するためには、いくつかの要件を満たさなければなりません。そして、最終的な参加可否の判断はThe Climate Groupにて行われます。

RE100の対象となる企業

以下のいずれか1つ以上に該当する「影響力のある」企業が対象となります。

  1. グローバル又は国内で認知度、信頼度が高い

  2. 主要な多国籍企業(フォーチュン1000又はそれに相当)

  3. RE100の目的に寄与する、何らかの特徴と影響力を有する

  4. 電力消費量が大きい(100GWh以上)

※日本企業は特例として50Gwh以上に緩和されています。

このうち、電力消費量の項目は必須要件となります。なお再エネ設備メーカーの場合は、以下の全てを満たす必要があります。

  1. 再エネ設備事業の収入が売上の50%以下

  2. 0.1TWh以上の電力消費量

  3. 8年以内の再エネ100%化

ゴールドメンバーでの加盟

そして、以下に該当する企業は対象外となります。

  1. 主要な収入源が発電、発電関連事業

  2. 化石燃料推進または、再エネ普及を妨害するロビー活動や化石燃料資産の増加を行っている

RE100の認定要件

対象企業は以下の認定要件を満たす必要があります。

  1. 「日本の再エネ普及目標の向上」と「企業が直接再エネを利用できる透明性ある市場の整備」に関する、責任ある政策関与と公的な要請を積極的に行うことに合意すること

  2. 期限を切った再エネ100%化目標の設定と公表※遅くとも2050年までに、100%を達成する目標とすること

RE100の申し込み方法

上記の参加資格および認定要件を満たせる場合はRE100へ申し込みをしましょう。申し込みはJCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)を介して行います。

JCLPとは、脱炭素に向けた日本企業の取り仕切りおよび支援を行っている組織です。JCLPが日本の窓口としてRE100の参加支援を行っています。なお、RE100参加申し込みに伴うJCLPへの登録は不要です。

出典:日本気候リーダーズ・パートナーシップウェブサイト

5. まとめ:RE100参加対象か確認し、JCLPに問い合わせよう

世界がカーボンニュートラルに向けて進む中、日本企業も例外なくこの波にのまれていきます。

しかし、気候変動という危機をチャンスと捉えて立ち向かい、再エネ100%を目指した取り組みを積極的に行うことで持続可能な社会に貢献するだけでなく、企業価値をより高めていくことが可能となるのです。

 

まずはRE100の参加要件を満たしているか確認し、JCLPに問い合わせてみましょう!

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