非上場企業にも影響大!?カーボンニュートラルと株との関係とは

KW:カーボンニュートラル/株

 

「カーボンニュートラルへの対応が企業の株に影響を与える。」この事実をあなたはどう受け止めますか?

環境問題が取り沙汰され始めた当初、「温暖化の原因は温室効果ガスではない」などといった、温室効果ガスの影響に懐疑的な意見も多く聞かれました。しかし、今では地球温暖化の原因が温室効果ガスであることを疑う科学者はごく少数派で、さらに国連主導で温室効果ガスの増加を止める施策を提唱し、多くの国々が賛同しています。

このような世の中で、企業のカーボンニュートラルへの対応と株価との関わりが出てくることは当然のこととも言えます。つまり、カーボンニュートラルを前向きに捉え、改革を進めている企業は市場から注目され、株式が買われる方向に動きやすく、反対にカーボンニュートラルに無頓着で、改革に着手しない企業は市場から取り残され、株式はマーケットから見放される傾向にあります。そして、このことはサプライヤーチェーンという形で非上場企業にも影響してくるのです。

目次

  1. カーボンニュートラルに対する各国の捉え方

  2. カーボンニュートラルと株式との関係

  3. カーボンニュートラル分野で伸びている株式

  4. 今後のカーボンニュートラルの取り組みとサプライヤーなどの対応の在り方

1.  カーボンニュートラルに対する各国の捉え方

カーボンニュートラルについて、各国はどのように取り組んでいるのでしょうか。

対応が活発な主な国、内容は次の通りです。

  • EU:中期目標:2030年に少なくとも▲55%(1990年比)

   長期目標:2050年カーボンニュートラル

  • 英国:中期目標:2030年までに少なくとも▲68%(1990年比)

   長期目標:2050年に少なくとも▲100%(1990年比)

  • 中国:中期目標:2030年までに排出量を減少に

GDPあたりCO2排出量を2005年比65%超削減

   長期目標:2060年カーボンニュートラル 

一方、対応が活発でない主な国は以下です。

  • 日本:中期目標:2030年度までに26%削減(2013年度比)

   長期目標:2050年カーボンニュートラル

  • 米国:前政権でパリ協定離脱を宣言→大統領選でパリ協定復帰を公約にしたバイデン政権が誕生し、新政権下で2050年までのGHG排出ネットゼロを表明 

このように、ヨーロッパ圏の国々は環境に対して敏感であり、取り組みも先行しています。一方、日本は2019年12月に開催されたCOP25で化石賞を2度も受賞してしまうなど、世界で大きく出遅れています。また、アメリカは前トランプ政権がパリ協定からの離脱を宣言し、同国の環境問題への取り組みには否定的でしたが、バイデン新政権が公約として掲げたパリ協定の復帰が実現し、同新政権は「2050年までのGHG排出ネットゼロ」を表明しています。

このような各国の動きの中、毎年大きく経済成長している中国の動きが注目されます。同国は「2030年までに65%超の削減、2060年カーボンニュートラル」を表明しています。

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き』(2020年12月)

2. カーボンニュートラルと株式との関係

これからの社会活動において環境問題はとても重要であることはご理解いただけたと思いますが、このことが株式にどう影響するのでしょうか。

 資源エネルギー庁によると、

  • カーボンニュートラルにかかわるイノベーションを後押しする2兆円規模の「グリーンイノベーション基金」の創設

  • 脱炭素化の効果が高い商品への投資を税制面で優遇(10年間で1.7兆円規模)

  • ファンド創設など投資を促す環境整備(3年間で1兆円規模)

など、脱炭素化を進める企業への資金面での優遇措置が多く策定されています。 また、民間でも多くの投資関係の商品が出てきています。

つまり、環境問題への取り組みは企業の株価を決める大きなファクターとなる可能性が十分にあるのです。株式の動きはカーボンニュートラルをはじめとする環境問題への取り組みいかんによって大きく左右される可能性があるということです。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルについて簡単におさらいしておきます。

カーボンとは温室効果ガスのことで、その代表はCO2です。その他、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがあります。

温室効果ガスの大部分を占めるCO2で考えれば、人間が排出するCO2もあれば山林の木々など、植物が吸収してくれるCO2もあります。

現在の社会構造の中で完全脱炭素社会を実現することは無理があるため、この排出と吸収のバランスをとって、出入りゼロ(=ニュートラル/中立)とみなそうというわけです。

脱炭素経営でカーボンゼロが理想ですが、業種的に難しい企業も多くあります。その場合、吸収される機会を増やすことも効果があるとされています。例えば、植林して植物を増やし、光合成でのCO2吸収量を増やす、ネガティブエミッションと呼ばれる技術を活用し、CO2の吸収量、貯留量を増加させる、などです。

出典:資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語~CO2を集めて埋め立てる「CCUS」』(2017,11,14)

カーボンニュートラルが株式に与える影響について

では、企業のカーボンニュートラルに対する取り組みがどのように株式に影響してくるのでしょうか。

世界の市場に影響力の大きいアメリカ、中国は自国が巨大なCO2排出国であるため、CO2の排出削減には消極的でした。しかし2020年、両国が脱炭素化社会への転換を表明し、世界は「カーボンニュートラル」に向けて大きく舵を切ったのです。

こういった背景から、カーボンニュートラル分野は莫大な市場規模となり得ます。2050年カーボンニュートラルの実現には、世界規模で約1.36京円という莫大な投資が見込まれています。グローバルな巨大企業は持続可能な成長を目標に、本格的にカーボンニュートラルに取り組んでいます。この流れは取引先企業にも波及しており、カーボンニュートラルは市場全体を巻き込んだ大きな波となっているのです。

カーボンニュートラルは市場への影響がとても大きなものであり、これからのトレンドとなります。つまり、企業のカーボンニュートラルへの対応により株価が影響を受けるということです。経営者の皆さんはタイミングを逃さず、決断が必要です。

出典:SMBC日興証券『イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド

3. カーボンニュートラル分野で伸びている株式

実際にカーボンニュートラルへの対応で株価が伸びている企業を見てみましょう。 

  • チャート・インダストリーズ社(米国)

同社は産業用エネルギー転換分野のリーディングカンパニーです。様々な気体を極低温で安全に貯蔵・運搬する技術を有しており、今後有力なエネルギー源となる水素分野への応用が注目されています。同社の株価は2015年から2020年末までに4倍を超えて上昇しています。 

  • バラード・パワー・システムズ社(カナダ)

同社は燃料電池の開発、製造を行う、業界のリーディングカンパニーです。同社の燃料電池は大型車両、フォークリフト、船舶、鉄道など、幅広く使われています。今後、自動車業界では内燃機関者の新車販売を停止する動きで、EV車より効率のいい燃料電池車の以降も考えられています。同社の株価は2015年から2020年末までに20倍ほどとなっています。 

  • 株式会社ウェザーニューズ(日本)

同社は気象情報会社です。人工衛星の観測データを基に船舶に最適な航路の案内を行っています。燃費が最善となる航行速度を提案するなど、多くのCO2削減を行っています。欧州を中心に世界規模で環境規制が厳しくなり、船舶関係で需要が増え、世界シェアは50%に達します。

また、国内では頻発する大規模災害から個人向けの気象情報サービスの引き合いもあり、売り上げ、利益ともに増加しています。2020年の株価上昇率は2018年末比で19%です。

出典:

SMBC日興証券『イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド

日本経済新聞『株価に効くESG 投資を通じて社会を変える

サプライヤーに与える影響

大手企業はすでに多くの会社でカーボンニュートラルへの取り組みを発表しています。

例:Apple社「Apple、2030年までにサプライヤーチェーンの100%カーボンニュートラルを約束」

国内でも、大手企業が発表したカーボンニュートラルへの取り組みは、その企業に係るすべてのサプライヤーまで浸透していてはじめて取り組みが達成されたと評価されるのです。

つまり、世の中のカーボンニュートラルの流れに乗れないと、市場から取り残されるということです。

出典:

apple『apple、2030年までにサプライヤーチェーンの100%カーボンニュートラルを約束

東京都『2050年カーボンニュートラルに向かう世界と企業

4. 今後のカーボンニュートラルの取り組みとサプライヤーなどの対応の在り方

カーボンニュートラルへの取り組みがとても重要であることは世界の共通認識です。また、カーボンニュートラルへの取り組みにかかる費用などは、もはやコストではなく、新しいビジネスへのチャンスですらあります。新型コロナ感染症の影響で市場が冷えた時、環境関係の株式は活気がありました。今後、株式市場の資金も実際のマーケットの資金も、環境問題に前向きな企業に流れていきます。これは中小企業にも同じように影響し、サプライヤーの責任としてカーボンニュートラルを実現しなければなりません。

まずは比較的簡単にできる、「電力のスイッチング」、「非化石証書の購入」から始められ、企業の形態に応じて「再生可能エネルギー発電設備の導入」、「製品の脱炭素化(材料・加工・運搬など)」、「ネガティブエミッションの検討」などの脱炭素化経営を進めてみてはいかがでしょうか。

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