RE100とは?加盟のメリットと各企業の取り組みを解説!

企業の地球温暖化への取り組みとして「SDGs」や「RE100への加盟」というワードが聞かれます。どちらも環境問題への取り組みを示すワードとなりますが、その内容について知らない方も多いと思います。ここではRE100について詳しく解説していきます。また、加盟している有名企業の取り組みについても合わせてご紹介しますので、自社の経営の参考にしてみてください。

目次

  1. RE100とは

  2. RE100へ加盟するメリット

  3. RE100加盟企業の取り組み

  4. 【まとめ】再生エネルギー100%へ挑戦する企業は増加している

1. RE100とは

RE100は国際環境NGOの「The Climate Group(クライメイト・グループ)」が2014年に立ち上げた国際協働イニシアチブです。REは「Renewable Energy(再生可能エネルギー)」の略で、100は「100%」という意味になり、

  • 2050年までに事業運営を100%再生可能エネルギーでおこなう

ことを目指しています。この取り組みは世界各国に広がっており、現在500社を超える企業が参加し、その売り上げ合計は4兆5000億ドルを超えています。日本でも2021年6月現在で56社が加盟し、活動の規模はさらに大きくなっています。

出典:環境省『RE100に参加している国別企業数』

RE100の加盟条件

加盟への条件としては前提として、「事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを宣言する」ことです。その他の条件としては次のような内容となります。

  • 社会的影響力のある企業であること

世界展開企業や多国籍企業、または国内で認知度・信頼度の高い企業であること。また、電力消費量が100GWh以上(日本企業は2020年9月に50GWh以上に変更)の企業であることが条件です。

  • 企業活動の全てを再生可能エネルギーで100%まかなうことを公約する意思があること

すでに100%を達成している。または100%を達成するための明確な計画を立案しているか、加盟後1年以内に目標達成に向けたロードマップ策定を公約できることが必要となっています。

  • 全ての企業活動がGHGプロトコルに則っていること

企業による発電(Scope1)による排出、また企業活動に関連する(Scope2)排出。50%以上の資本関係のあるグループ企業のすべての企業活動(50%以下はケース別に判断)が対象となります。

  • 100%達成にむけた期限の厳守

2020年までに30%、2030年までに60%、2040年までに90%、2050年までに100%達成にむけたビジョンが必要となります。

  • 年次報告の義務

加盟企業は毎年の報告義務があります。報告内容は最低ラインとして、電気使用量の総計と再エネの電力使用量となります。

出典:環境省『RE100について』(p37~)

電力の調達方法

再エネ100%利用達成のための電力調達方法としては、

  • 自社で太陽光・風力などの再エネ発電を行い、自家消費する

  • Jクレジット・グリーン電力証書を利用した環境付加価値の購入

があります。Jクレジットとは、省エネ設備の導入・再エネ活用によるCO2排出削減量・CO2吸収量をクレジットとして販売・購入できる、国が認証する制度です。

出典:経済産業省『Jクレジット制度』

2. RE100へ加盟するメリット

ESG投資

ESGとは、「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(企業統治)」の頭文字で、長期的、持続的に成長する企業経営に必要な要素と言われています。現在、投資の世界でも注目され、投資先の選択に使われています。投資の際に、従来の財務状況の他、成長できる企業の要素のひとつと考えられているのです。RE100への加盟はこのESG投資の判断基準のひとつとなり、安定した資金調達への対応にもなるのです。

 PRI(投資にESGの観点を取り入れることなどを含めた投資原則)署名機関数推移

出典:経済産業省『ESG投資』

エネルギー価格上昇へのリスク対応

現在、日本のエネルギー起源は石油・石炭・天然ガスといった化石燃料による火力発電が多くを占めています。化石燃料のほとんどは中東からの輸入に頼り、エネルギー自給率はとても低い状況なのです。世界的な需要の増加や、政治的、軍事的な面を考えても価格の不安定さはぬぐえません。RE100への取り組みはこのようなエネルギー価格上昇への対応としても注目されています。

ここからは加盟している日本企業の取り組みについてご紹介します。

3. RE100加盟企業の取り組み

日本初の加盟企業<株式会社リコー>

リコーグループは2017年4月に日本企業で始めてRE100に加盟し、ソーラーパネルを使用した自家発電や、再エネ電力への切り替えを進めています。英国の生産会社「Ricoh UK Products Ltd.」では2019年10月より、社屋で使用する電力を全て再エネ電力とし、欧州の販売会社10社で100%再エネ電力へ切り替えています。

国内でも岐阜支社が、太陽光発電や蓄電装置の導入により、「Nearly ZEB(年間のエネルギー消費量をゼロに近付け、75%以上省エネを達成した建物)」の認証をうけています。

出典:リコー『RE100目標達成にむけて生産拠点における再生可能エネルギー由来電力の活用拡大』

大規模工場で再生可能エネルギー100%調達<富士通株式会社>

2018年に加盟した富士通では、再エネの利用を2030年までに40%、2050年には100%を目標としています。今後の国内の本格導入に先駆け、グループ最大規模の川崎工場(本店)では2021年4月より、再エネ100%調達を開始しています。

また中長期の環境ビジョンとして、「FUJITSU Climate and Energy Vision」を策定し、2021年4月には、2030年度CO2排出量の削減目標を33%から71.4%へ上方修正し、CO2排出削減へ意欲的に取り組んでいます。

出典:富士通株式会社『RE100の達成に向け、富士通グループで最大規模の川崎工場で再生可能エネルギー100%調達を開始』

積水ハウスオーナーでんき開始<積水ハウス株式会社>

積水ハウスは2017年10月にRE100に加盟し、2030年までに消費電力の50%を再エネで賄い、2040年には再エネ100%使用を目標としています。

2013年から、高い断熱性と省エネ設備により消費エネルギーを大幅に削減し、太陽光発電など先進の創エネ設備により、必要な消費エネルギーに相当するエネルギーを創り出しエネルギー収支「ゼロ」とする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及を開始し、2017年には、新築戸建て住宅のZEH比率が76%となっています。

また、RE100への取り組みとして、オーナーから太陽光発電の余剰電力を買取り、自社の事業用電力として利用する「積水ハウスオーナーでんき」を2019年11月より始めており、これにより目標達成を目指しています。

出典:積水ハウス株式会社『積水ハウスオーナーでんき』

1兆円企業の取り組み<ソニーグループ株式会社>

2021年4月にソニーグループ株式会社へ63年ぶりに社名変更を行い、2021年3月期決算では純利益1兆円を達成したソニーは、2018年9月にRE100へ加盟し、2030年に再エネ100%の目標を立てています。欧州の事業所では2008年に100%を達成しており、今後は日本での取り組みに力を入れていく方針を発表しています。

太陽光発電の積極的な導入や、再エネ電力の購入、グリーン電力証書の活用などで目標達成を目指し、グリーン電力証書は日本最大規模の導入企業となっています。また、テクノロジー企業として、再エネ推進の新しいプラットフォームへの出資なども行い、イノベーションへの取り組みにも力をいれています。

出典:ソニーグループポータル『RE100達成に向けたソニーの挑戦』

外食関連企業で世界初<ワタミ株式会社>

2018年3月に外食関連企業として初めてRE100へ加盟したワタミでは、2035年までに再エネ50%、2040年には再エネ100%を目標としています。

再生可能エネルギーとして、2012年に風力発電事業へ参入し、秋田県に夢風車「風民(ふーみん)を竣工しています。また、太陽光発電にも取り組んでおり、食品製造工場へのソーラーパネルの設置もすすめています。

出典:ワタミ『環境事業 限りある資源を有効活用し、持続可能な循環型社会づくりに貢献すること』

4. 【まとめ】再生エネルギー100%へ挑戦する企業は増加している

  • RE100とは、REは「Renewable Energy(再生可能エネルギー)」の略で、100は「100%」という意味になり、2050年までに事業活動の消費電力を100%再生可能エネルギーに転換することを目指している企業の国際協働イニシアチブのこと。

  • 現在500社を超える企業が参加し、その売り上げ合計は4兆5000億ドルを超え、日本でも2021年6月現在で56社が加盟している。

  • RE100への加盟条件としては、「社会的影響力のある企業であること」、「企業活動の全てを再生可能エネルギーで100%まかなうことを公約する意思があること」、「全ての企業活動がGHGプロトコルに則っていること」、「100%達成にむけた期限を厳守できること」、「年次報告の義務を遂行できること」があげられている。

  • 企業のRE100への加盟はESGという投資家の評価基準のひとつとなり、安定した資金調達へ結びつき、化石燃料の価格上昇によるリスクへの対策となる。

今後も企業による環境対策への取り組みは消費者の注目ポイントとなり、企業の評価ポイントとなっていくでしょう。事業活動に使用される電力の再生可能エネルギー化への取り組みは企業経営の柱として考えていきましょう。

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