【CO2排出原単位とは】サプライチェーン排出量の算定方法を紹介!

CO2排出原単位とは何かをご存じですか。CO2排出原単位は、サプライチェーンのCO2排出量算定方式に必要な単位です。いまやグローバル・サプライチェーンにおいて、脱炭素への重要性は増しています。企業はサプライチェーンでのCO2排出量を算定し可視化することで、環境への負荷の課題に取り組みやすくなり、消費者への信頼性を獲得可能です。

本記事では、サプライチェーンの脱炭素化の必要性やCO2排出量の算定方法と、算定方法に必要な「CO2排出原単位」について詳しく解説します。

目次

  1. サプライチェーンの脱炭素化の重要性

  2. サプライチェーン排出量とは

  3. サプライチェーン排出量の算定方式

  4. 算定方式に必要な排出原単位とは

  5. まとめ:排出原単位を理解に基づくサプライチェーンの脱炭素化で消費者からの信頼を高めよう!

1. サプライチェーンの脱炭素化の重要性

サプライチェーンについて解説

まずはサプライチェーンについて解説しましょう。サプライチェーンは英語で「Supply Chain」で、日本語で「供給連鎖」という意味になります。製品を製造するための原材料の調達から、配送や在庫の管理、商品の販売、消費、そして再利用に至るまでの一連の流れのことを指します。企業のグローバル化が進展したことで、サプライチェーンはより複雑に拡大しており、それに伴いCO2排出量が増加しています。

エネルギー起源による温室効果ガス排出

サプライチェーンの脱炭素化はなぜ推進されなくてはいけないのでしょうか。エネルギー起源による温室効果ガス排出はScope3において非常に重要なカテゴリの1つです。

人間の産業活動にはエネルギー大量のエネルギーを使用し、2019年度の国内産業のエネルギー起源CO2排出量は、3億8600万トンにもなりました。大量のCO2は地球温暖化を加速させ、世界で気候変動による異常気象が多発し、気温が上昇する危機を招いています。

出典:経済産業省「温室効果ガス排出の現状等」(p.14)(2019)

サプライチェーン排出量を算定する必要性とはなにか?

これまでも企業は、CO2排出削減に取り組んできました。さらなる削減の可能性を推し進めるために、自社のみの排出削減ではなく、算定範囲をサプライチェーン全体に拡大する動きが国際的に高まっています。また、企業によって事業の内容は多義にわたるため、サプライチェーンの部門ごとにその排出状況もさまざまです。

サプライチェーン排出量を算定することで、自社の温室効果ガス排出のホットスポットを知ることができれば、より適切な削減対策を講じることが可能です。

出典:環境省「サプライチェーン排出量の算定と削減に向けて」(p.3.4.5)(2022.3.17)

2. サプライチェーン排出量とは

サプライチェーン排出量を解説

サプライチェーン排出量とは、サプライチェーンにおけるCO2排出量のことです。事業者のみの排出ではなく、すべての事業活動において排出されたものの合計を指します。サプライチェーンの排出量は、上流、自社、下流と、以下のScope1.2.3で表すことができます。

  • Scope1

直接排出量とも呼ばれ、事業者による燃料使用等により、直接排出されるCO2排出量のことを指します。

  • Scope2

間接排出量とも呼ばれ、他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴うCO2排出量のことを指します。 

  • Scope3 

Scope3は、Scope1と2をのぞくサプライヤーから排出される間接的なCO2排出量のことです。「GHGプロトコル(温室効果ガス排出量算定と報告の世界基準)」ではScope3は15のカテゴリに細かく分類されます。

Scope3 概要

出典:環境省「サプライチェーン排出量の算定と削減に向けて」(p.3)(2022.3.17)

サプライチェーン排出量可視化のメリット

サプライチェーンは年々拡大化し複雑化しているため、サプライチェーンのCO2排出量は見えづらくなっています。しかし、サプライチェーン排出算定法を使用し、排出量を明確化することで、それぞれの部門の課題や問題点が見えてきます。企業は自社のサプライチェーンでの排出量を自覚することが可能になり、サプライヤー同士の連携を深めることが可能です。

脱炭素を推進するためにもサプライチェーンのCO2排出量を算定し、可視化することは大きなメリットとなります。

3. サプライチェーン排出量の算定方式

サプライチェーン排出量の算定方式

まずはCO2の排出量の基本的な算定方式をご紹介します。

  • 排出量=活動量×排出原単位

活動量とは、事業者の活動の規模に関する量です。この基本方式をもとに、自社のサプライチェーンに当てはまるカテゴリ別に排出量を算定します。カテゴリはそれぞれ前述したScope1.2.3に分類され、合計したものがサプライチェーン排出量になります。

  • サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出

4. 算定方式に必要な排出原単位とは

原単位とはなにか

そもそも原単位とはなんでしょうか。原単位とは、本来は製造分野で使用されていた単位です。一つの製品を生産するのに必要な燃料や労力、それにかかる時間の量を指し、原単位が小さければ小さいほど生産は合理化されていると考えられます。現在は環境分野において、エネルギー管理やCO2排出の重要な指標としても用いられています。

CO2排出原単位とは

CO2排出量の算定方式の重要な単位として、「CO2排出原単位」があります。CO2排出原単位は「CO2排出係数」とも呼ばれ、経済活動量1単位あたりのCO2排出量のことです。排出原単位は、データベースから選択して使用する基本的な方法と、排出量を直接実測する、または取引企業からデータを提供してもらうなどの方法があります。CO2排出原単位を算出する基本方式は以下です。

  •  排出原単位 = 排出量÷経済活動量

CO2排出原単位の種類

排出原単位の例として以下のものがあげられます。

  • 電気1kWhの使用当たりのCO2排出量

  • 貨物の輸送量1トンキロあたりのCO2排出量

  • 廃棄物の1tあたりのCO2排出量

例えば電力による年間のCO2排出量は、以下のように計算できます。

  • 1年間の電気使用量 (kWh)×CO2排出原単位

このように算定方式を活用することで、企業だけではなく個人でもCO2排出量を算定することが可能になります。可視化されることでCO2削減とともに省エネへの意識も高まり、企業、消費者ともに環境負荷低減に貢献可能です。

5. まとめ:排出原単位を理解に基づくサプライチェーンの脱炭素化で消費者からの信頼を高めよう!

サプライチェーンの脱炭素の必要性と、CO2排出量の算定方法に必要な「CO2排出原単位」について解説しました。サプライチェーンがグローバル化するにつれ、環境負荷提言の取り組みの重要性は増すでしょう。企業は自社の取り組みだけではなく、サプライチェーン全体への取り組みを行うことが必須となります。取り組みを明確化し、消費者や投資家への信頼を得ることは企業の環境価値を大いに高めます。

ぜひサプライチェーンの排出量算定を行い社会的信用を高め、持続可能な未来へ貢献する企業へと踏み出してはいかがでしょうか。

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サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説