省エネ法改正とは?エネルギー分野における脱炭素について解説
- 2024年11月13日
- 省エネ
省エネ法改正について、わかりやすく解説します。事業者に対しエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換を求める省エネ法は、脱炭素社会を目指す日本にとって重要な法律です。その省エネ法が改正されました。省エネ法の改正は、日本のエネルギー需要にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。
本記事では省エネ法改正の概要やポイント、エネルギー需要の脱炭素化に向けた各国の取り組みなどについて取り上げます。
目次
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省エネ法改正とは
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改正省エネ法の3つのポイント
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エネルギー需要の脱炭素化に向けた各国の取り組み
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まとめ:省エネ法改正の趣旨を理解して、脱炭素社会実現を目指そう!
1. 省エネ法改正とは
省エネ法の改正によって、法律の対象となるエネルギーの種類が拡大されました。省エネ法の概要や改正の背景について解説します。
省エネ法とは
省エネ法は、正式には「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」と言います。省エネ法は一定規模以上の事業者に、エネルギーの使用状況等について定期的に報告や、省エネや非化石転換等に関する取組の見直しや計画の策定等を求める法律です。省エネ法が直接規制する事業分野は、工場・事業場及び運輸分野です。省エネ取組を実施する際の目安となるべき判断基準を示し、一定規模以上の事業者にはエネルギー使用状況等を報告させ、取組が不十分な場合には指導・助言や合理化計画の作成指示等を行うこととしています。
省エネ法改正の背景
資源が乏しい日本は省エネに積極的に取り組み、世界でもトップクラスの省エネを達成しています。しかし2050年カーボンニュートラル目標や2030年の野心的な温室効果ガス削減目標の達成に向けては省エネの強化だけでなく、非化石エネルギーの導入拡大が重要です。2023年4月に省エネ法が改正されたのもそのためで、省エネの取り組みを引き続き進めることに加えて、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換を図ることを掲げている点が、改正の重要な観点となっています。
出典:資源エネルギー庁「2023年4月施行の「改正省エネ法」、何が変わった?」(2023/12/19)
2. 改正省エネ法の3つのポイント
改正省エネ法には、脱炭素社会の実現に向けた重要な視点が含まれています。改正省エネ法のポイントについて解説します。
「エネルギーの使用の合理化」の対象範囲を拡大
従来の省エネ法における「エネルギー」とは、化石燃料でした。しかし改正省エネ法では、「エネルギー」の定義を拡大し、化石エネルギーだけでなく非化石エネルギーを含むすべてのエネルギーの使用の合理化を求める枠組みに見直されています。工場・事業所・運輸事業者などのうち一定規模以上のエネルギー使用者には、エネルギーの使用状況を報告させ、取り組みが不十分な場合には、指導・助言や合理化計画の作成指示などが行われます。
出典:資源エネルギー庁「2023年4月施行の「改正省エネ法」、何が変わった?」(2023/12/19)
非化石エネルギーへの転換
改正省エネ法では一定規模以上のエネルギー使用者に対し、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期計画の作成と、非化石エネルギーの使用状況などの定期報告をおこなうことが求められるようになりました。非化石エネルギーに転換するエネルギー量の目安については、セメント製造業・自動車製造業・鉄鋼業・化学工業(石油化学・ソーダ)・製紙業の5業種に対して、国が2030年度の定量目標を設定しています。
出典:資源エネルギー庁「2023年4月施行の「改正省エネ法」、何が変わった?」(2023/12/19)
電気の需要の最適化
改正省エネ法では、産業部門などの大規模需要者に対して「電気の需要の最適化」を図ることが求められます。電気の需要の最適化とは、たとえば再エネの出力制御時への電力の需要シフトや、電力の需給ひっ迫時の電力の需要減少を促すため、電力の需給状況に応じたDR(デマンドレスポンス)などを行うことです。DRとは消費者が賢く電力使用量を制御することで、電力需要パターンを変化させることです。改正省エネ法では、再エネの余剰時などに電力需要を増加させる「上げDR」、電力需給ひっ迫時に電力需要を抑制させる「下げDR」など、DRの実績を求めています。
出典:資源エネルギー庁「2023年4月施行の「改正省エネ法」、何が変わった?」(2023/12/19)
出典:資源エネルギー庁「ディマンド・リスポンスってなに?」
3. エネルギー需要の脱炭素化に向けた各国の取り組み
エネルギー需要の脱炭素化を目指しているのは、日本だけではありません。世界各国の取り組みについてご紹介します。
米国
米国は2030年までに温室効果ガスの排出量を2005年比で50〜52%削減し、2050年にカーボンニュートラルを実現することを目指しています。そのため、2022年8月に気候変動対策を盛り込んだインフレ削減法が成立しました。インフレ削減法で大きく掲げられているのは、クリーン電力への移行を促進する方針です。また水素やバイオ燃料等のクリーン燃料に対する、税額控除も掲げられています。さらに電化を促進する方針も定められており、家庭部門や産業部門等に対する支援とともに、電気自動車メーカーに対する減税・補助の計画も含まれています。
出典:資源エネルギー庁「令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)」
フランス
フランスは2022年2月に発表したエネルギー政策に基づき、2050年のカーボンニュートラル実現を目指しています。化石エネルギーからの脱却手段として、原子力と再エネの2本柱を掲げています。再エネについては、2023年3月に再エネ生産加速法が施行され、2050年までに太陽光発電の発電容量を100GW超に増やすとともに、洋上風力と陸上風力の発電容量をそれぞれ40GWまで増やす目標の達成を目指しています。
出典:資源エネルギー庁「令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)」
韓国
韓国では2022年10月に、原子力・再エネのバランスの確保やエネルギーミックスの再構築等に関する戦略「カーボンニュートラル・グリーン成長推進戦略」、技術開発に関する基本的方向性「カーボンニュートラル・グリーン成長技術革新戦略」が発表されました。技術開発の対象としては、超高効率太陽電池システムや小型モジュール炉や水素還元製鉄の製造技術等が含まれています。2023年1月には、「第10次電力需給基本計画15」が発表され、2036年までに石炭火力を減少させる一方で、原子力やLNG火力及び再エネを拡大させる方針が示されています。
出典:資源エネルギー庁「令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)」
4. まとめ:省エネ法改正の趣旨を理解して、脱炭素社会実現を目指そう!
省エネ法は事業者に対し省エネルギーの対策を促す法律ですが、2023年の改正で非化石エネルギーへの転換を促す内容に見直されました。非化石エネルギーへの転換と平行して、電気需要の最適化も重要なポイントです。事業者には、エネルギー使用状況の報告義務や非化石エネルギーへの転換、さらに電気需要の最適化などが求められますが、エネルギー需要の脱炭素化は、世界各国のトレンドになっています。
省エネ法改正の趣旨を理解して、脱炭素社会実現を目指しましょう。省エネ法改正の趣旨を理解して、脱炭素社会実現を目指そう!