2024年のカーボンニュートラルの動向は?現状から見た今後を解説!

2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、2024年のカーボンニュートラルの動向が注目されています。現在、日本ではカーボンニュートラル達成に向けての温室効果ガス排出量削減の取り組みが進められており、今後は、持続可能な社会の構築が重要だとされています。

ここでは、カーボンニュートラルの基礎知識をふり返るとともに、現在のカーボンニュートラルの達成状況、2024年のカーボンニュートラルの動向についてご紹介します。

目次

  1. カーボンニュートラルとは?

  2. 日本の温室効果ガス排出量と吸収量

  3. 現在のカーボンニュートラルの状況

  4. 2024年のカーボンニュートラルの動向

  5. まとめ:2024年のカーボンニュートラルの動向に注目し達成に貢献できる企業を目指そう!

1. カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、CO2を含む温室効果ガスの「排出量」と、植林・森林管理などによる「吸収量」を均衡させ、排出量を実質的にゼロにすることです。カーボンニュートラル達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減だけでなく、同時に 吸収作用の保全・強化が重要となります。パリ協定の採択を受け、2020年に政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」を掲げ、中間目標として2030年の温室効果ガス排出量を2013年度よりも46%削減することを目標としています。

カーボンニュートラルとは?

出典:環境省『カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル』(2021/03/30)

出典:環境省『2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き』p,9.(2021/01/27)

2. 日本の温室効果ガス排出量と吸収量

現在の日本の温室効果ガス排出量と吸収量はどのようになっているのか、ここではそれぞれの状況について見ていきます。

日本の温室効果ガス排出量

日本の温室効果ガス排出量は、2021年の時点で11億7000万トン(CO2換算)となっており、その大部分がエネルギー由来の排出量(86.8%)となっています。次いで、工業プロセス及び製品の使用(8.8%)、農業分野(2.8%)、廃棄物分野(1.5%)、間接CO2排出量(0.2%)となっています。また、2013年度からは排出量が2億5350万トン(CO2換算)減少し19.2%の削減となっています。

我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量の推移

出典:環境省『日本国温室効果ガスインベントリ報告書(概要)』p,2.p,4.(2023/04/18)

出典:環境省『国内外の最近の動向について(報告)』p,10.(2023/06/26)

日本の温室効果ガス吸収量

森林などによる温室効果ガス吸収量は、「幹の体積の増加量(m3/年)×拡大係数×(1+地上部・地下部比)×容積密度(トン/m3)×炭素含有率」の計算方式で算出します。幹の体積は、まず樹木の種類と林齢から平均的な体積を調べ、次に1年間の成長による体積の増加量を考慮し、枝・葉(地上部)と根(地下部)を加えて全体の増加量を把握します。さらに、炭素の量を計算するために、体積から重力に変換するための容積密度を適用し、最後に樹木の重量あたりに含まれる炭素を炭素含有率で乗じます。

日本の吸収量は、2021年度には4,760万トン(CO2換算)となっていますが、2014年は5,750万トン(CO2換算)だったことから、吸収量としては1,000万トン減少している状況です。また、2021年時点でのG7各国の排出・吸収量で比較すると、アメリカが55.9億トン(CO2換算)で最も多く、次いで日本が11.2億トン(CO2換算)となっており、最も少ないのはイタリアの3.9億トン(CO2換算)です。

出典:国立研究開発法人国立環境研究所『1. 温室効果ガス排出・吸収量』p,13.(2023/04/20)

出典:林野庁『よくある質問』(2013/03/31)

出典:環境省『2021年度温室効果ガス排出・吸収量(確報値) 概要』p,4.(2023/04/21)

3. 現在のカーボンニュートラルの状況

2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みが進められる中、取り組み状況による課題が見えてきました。ここでは、現在のカーボンニュートラルの達成状況とそこから見える課題についてご紹介します。

カーボンニュートラルの達成状況

カーボンニュートラルの達成に向けて、2030年度に2013年度比で46%の温室効果ガス排出量削減を目先の目標として取り組む中、2021年にはコロナ過の経済回復によるエネルギー消費率の上昇が見られたものの、達成の目安としているラインに近い状況で取り組みが進められています。

温室効果ガス排出量においては、2030年度の排出量を8億1300万トン(CO2換算)とすることを目安としており、2021年から3億5700万トン(CO2換算)削減する必要があります。

2030年度目標及び2050年カーボンニュートラルに対する進捗

出典:環境省『国内外の最近の動向について(報告)』p,9.(2023/06/26)

達成状況から見た課題

日本は、カーボンニュートラル達成に向けての進捗状況は順調と言える一方で、世界では、このまま温室効果ガスの排出が継続されれば、より地球温暖化の影響が拡大する懸念を示しています。産業革命を基準とした世界の平均気温は、2011年~2022年の間で1.1℃上昇しており、パリ協定に基づいて作られた「国が決定する貢献(NDCs)」による2030年の温室効果ガス排出量では、2040年までに平均気温が1.5℃上昇する危険があるとしています。そのため、気温上昇による温暖化を食い止めるためには、この10年で急速かつ大幅な温室効果ガス排出量削減を直ちに全ての部門で取り組む必要があります。

出典:環境省『国内外の最近の動向について(報告)』p,3.4.5.(2023/06/26)

4. 2024年のカーボンニュートラルの動向

最後に、2024年のカーボンニュートラルに関する日本の動向をご紹介します。

カーボンニュートラル実現に求められること

カーボンニュートラル実現には、省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限に活用すると同時に、長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に変えることが必要です。しかし、現在のカーボンニュートラルの取り組みでは、カーボンニュートラル達成は現実的ではないという見方もあり、社会経済活動の中で「カーボンニュートラル」「循環経済」「自然再興」を同時に進めて行くことが必要だとしています。

その背景には、世界規模での異常気象発生による大規模な自然災害の増加が、経済や環境、健康被害などといったさまざまな分野に影響を与えていることが挙げられ、これからの未来の質の高い生活を確保するためには、持続可能な成長を追求する必要があります。

出典:環境省『環境省持続可能な経済社会システムの 実現に向けた取組』p,1.(2024/01/24)

出典:環境省『2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き』p,2.(2021/01/27)

火力発電によるCO2排出量ゼロ

石炭火力発電には、安定した供給ができるという利点がある一方で、CO2排出量が多いという課題もあり、カーボンニュートラル達成には石炭火力発電の排出量をゼロにする必要があります。そのためには、安定供給を確保した上で、石炭火力発電の割合を最小限に抑える必要があり、それに代わってCO2回収・有効利用・貯留(CCUS)や水素・アンモニアの混焼・専焼化の技術開発や実装を加速させることが求められています。

出典:環境省『環境省持続可能な経済社会システムの 実現に向けた取組』p,13.(2024/01/24)

再生可能エネルギー導入の拡大

持続可能な社会の構築には、再生可能エネルギーの普及が不可欠であり、水深の深い海域で浮体式洋上風力の導入拡大が進められています。すでに、長崎県五島市での実用化されており、今後は、再生可能エネルギーの地域での受け入れ度を向上させ、最大限の導入をスムーズに進めるために、受け入れ地域の理解と環境保全の確保などを慎重に検討を進めるものとしています。そして、脱炭素化と同時に、エネルギーの地産地消を目指す地域では、自立的なビジネスモデルの構築を効果的に推進するために、事業性の検証に取り組んでいきます。

出典:環境省『環境省持続可能な経済社会システムの 実現に向けた取組』p,8.(2024/01/24)

5. まとめ:2024年のカーボンニュートラルの動向に注目し達成に貢献できる企業を目指そう!

2024年のカーボンニュートラルの取り組みは循環型社会の構築が重要であり、そのためには、石炭火力発電の利用を最小限に抑えることや、再生可能エネルギー普及を拡大させることが不可欠となります。現在の日本のカーボンニュートラルの取り組みは、一見すると目標に向けて順調という印象ですが、世界では温室効果ガス排出が継続されれば、カーボンニュートラル達成は難しいという見解を示しています。

2030年までの「勝負の10年」に企業として貢献するためにも、今後のカーボンニュートラルの動向に注目しましょう。

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